彼の者の名は、忘却の糸使い
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「えぇー! すっげー俺にそっくりー!」
似ている、というよりも、同じ、の方が近いかもしれない。
顔は勿論、声、背丈、服装。まるで鏡でも見ているかのようだ。
三人の前に現れたのは、まさにアリスだった。
「主が二人…。……これって、どういうことですー?」
イドルは二人のアリスを交互に見る。
見れば見る程似ているが、見分けがつかなくなることはない。
二人のアリスの決定的な違いは、表情。
向こうから現れたアリスは不敵な笑みを浮かべている。
それだけで、アリスにはない雰囲気を纏っていた。
「こんなにそっくりな人間って、いるも……
「……真紅の草原 閃く」
あまりにも似過ぎではないか。
ライゼルークに賛同を求めようとした瞬間。
そっくりなアリスは突如爆発し、内臓や肉片らしき欠片が無数に飛び散った。