春夏秋冬

□一流にはまだ遠い
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彼と会ったのは、偶然を装ってぶつかった私の作戦。

あれは三ヶ月程前の事・・・。

「きゃっ!」
「わっ!」

お互いが曲がり角で、ぶつかった。

思ったより痛い・・・ってあ〜ぁ、これ絶対足痛めちゃってるよ・・・。
受身とればよかったかなぁ。

なんて事を思いながら相手の、今回の標的の様子を伺う。

「いてててっ・・・あ、すみません大丈夫でしたか?」

そう言って差し出してくれた彼の手を、私は握った。

やっぱりマフィアのボスでも、暖かいよなぁ・・・。

「あっ、すみません大丈夫でっ!!?」

起き上がろうとすると、足に激痛が走った。

「!!ちょっとすみません。」
「ぇ?」

私が聞き返すと同時に彼の右腕は私の背中に、左腕は私の膝裏に・・・。
こうして病院へ強制連行された私は、作戦通り彼(標的)に近づいて彼の身辺を探った。


そして今、私と彼は二人きり、そして彼は私に背中を向けているというなんともマフィアのボスが普通しない事を彼は平然としていた。

私も、明日までに(つまり今日の24:59)までに彼(標的)を始末しないと、私が依頼人に殺やられる。

依頼人とは、あまり大きすぎないけれど小さくもない中型ファミリー。

カチャっと彼の背中に銃口をあてる。

「・・・悪いけど、死んでもらうわ。」

そう言って引き金に人差し指をかける。

彼は自嘲気味に笑って言った。

「ははっ、君もこちら側の人間だったんだね。」

そうよ、
「私は生まれた時から裏の人間よ。」

「そう・・・、君は夢魔だろ?」

夢魔、私のこちらでの名。

「死に行く人間には関係ないわ。」

あくまで感情を出さずに、無表情のまま答える。

「ははっ、まぁ冥土の土産ってやつに聞いておきたかっただけだよ。」

「・・・そうよ。」

「・・そっか、一流ヒットマンに殺されるならまぁいいかな。」

そう言って頭をポリポリ掻く彼に、私は無性に腹がたった。

「わっ、私は、一流なんかじゃないわ・・・。一流なら、・・・一流ならッ、貴方にこんな感情は抱くはず無いもの!」

もう、なに言ってるかわかんない・・・。
前も何も見えない。
貴方の愛しい顔も、何もかも見えない。

「ッ!!」

ふわりと何かに包まれる中、私の体の中にある強制的に入れられた毒薬が回りだしたのか、意識を手放した。

最後に見たのは愛しい貴方の泣きそうな顔。



ヒロインちゃんは死んでしまったのか、生きて居るか・・・

それは“最後”という漢字に注目してみてくださいね!

では、失礼します(`▽´)ゝ


081023


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