春夏秋冬

□すれ違いもたまには良いか・・・
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私と彼の関係は、ただの友達・・・。
否、それ以下かもしれない。

「あっ、ねぇ沢田クンここ分かる?」

私が勇気を出して声をかけても、沢田クンはあたふたして必ずと言って良いほど一瞬京子の方を見る。

ほら、また・・・。

「、えっ・・あぁ、・・う、うぅ〜、ん・・・ごめん俺もわっ、分かんないや!」

そう言って逃げるように獄寺と山本の方へ行ってしまった。


「なんなの?沢田の奴・・・。」
「ねぇー、どうしたんどろう・・・つな君。」

「・・・。」

京子の不思議そうな声が私の耳に入る。

その度に私はこの醜い感情でそうにかなってしまいそうだ。

「おぉーい!桜井〜!」

桜井とは私の苗字。
私は涙を無理矢理抑えて、二コリと作り笑いを浮かべる。
そして私を呼んだクラスの男子の下へ向かった。

「なぁに〜?なんか呼んだー?」

私がそう言うと、その男子はパンッ!っと自分の顔の前で掌を合わせた。

「わりぃ!この前借りたCDさ、・・・」

なかなか言わないクラス男子に私は作り笑いを浮かべる。

「え?なんだって?」

「えぇーと・・・風紀委員に募集されちまった・・・。」

その男子の一言に、私はキレタ。

「はぁ!?おまっ、お前ふざけんな!弁償しろ!弁償!」

胸倉を掴みながらそいつを揺さぶると、彼は苦しそうにしながらも言った。

「持ち主が、取りに来いだって・・・。」

その一言に、私はガクリと項垂れる。

「あぁ・・・どうしよう。」

すると、私の肩にぽんっと手が置かれた。

「どうしたんだよ、桜井。」

その手の主は、学年で一位二位を争う、山本だった。

「いや、それがさぁ・・・。」

私は今までのことを全部話すと、山本は豪快に笑って言った。

「じゃあ、俺等が取ってきてやるよ。」

「へ?マジで!?・・・あっ、けど悪いしなぁ。」

私の顔に喜びが浮かぶが、すぐに曇る。

「ははっ、気にすんなって。ツナがさ、雲雀と結構仲良いから!」




「はぃ?」

今、私の幻聴じゃあなければ沢田クンの名前が出てきたよね


けれど、当の沢田クンは顔を真っ赤にして慌てている。

「えーとっ、沢田クン?」

「ぇ、っ!?はいッ、、!!」

突如挙動不振になる沢田クン。

一切目を合わせようとしない沢田クンに、私の胸はズキズキと深紅の液体を流す。

「あっ、あのね、沢田クンが無理ならいいんだ!構わないから、ねッ?」

顔に笑顔の仮面を貼り付けて、首を傾げると彼はまたまた京子の方を見て大きく頷いた。

それに私は涙が出そうになった。

京子に誤解されまいと沢田クンは心配なんだよ。

私なんかと喋ってたら、京子に勘違いされるもんね・・・。

私はなんとかそのまま笑みを貼り付けて、「ありがとう」とお礼を言った。

「山本ー、私保健室行ってくるー。」

これは私のSOSの証。

「おぅ!じゃあ付き添いで着いてくぞー!」

山本はいつも心良くそれに気付いてくれる。

「さんきゅー頼むぅー。」

そして私達は保健室へ・・・。

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