異世界ノ空

□異世界ノ空
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「……ふぅわ〜。」

もそもそと怪しく動くタオルケットにくるまっている
梅和〔シュウカ〕は
大きい欠伸をした。

「…今何時…?」

むくりと起き上がって壁に掛けてあるシンプルな白い時計を見つめる。

静まり変えった住宅街、
窓から差し込む明るい光。

「五時…か、」

いつもより早く起きたな、ともう一つ欠伸をして布団から出る。

クローゼットを開けて制服に手を掛けると…
ぐうぅぅぅぅ

なんとも間抜けな音が鳴った。

梅和は自分のお腹を見つめて、擦る。

「はいはい、もうちょっと待ってねー。」

自分の腹に声をかけると制服に着替え始めた。


制服に着替え終わると、部屋を出てリビングに向かう。

梅和はリビングの扉を開けてそのまま台所に直行、
そしてエプロンをするとリビングを出て洗面所へ向かった。


洗面所には母、深和〔ミワ〕が居た。
「おはよう母さん。」
洗濯物をしている母に声をかけた、
母は振り返って梅和に微笑み掛ける。

「おはよう。随分と早いわね、もう少し寝ててもいいのに…。」

作業をしながら言う母に、梅和も顔を拭きながら頷く。



「なんか起きちゃってさ…どうせ朝食も作るし、…いいやと思って起きたの。」

髮を整えて言う梅和はまだ寝起きの顔だった。

「あらそう…、じゃあ今日も朝食お願いね。」

わかった、と頷く。

そんな軽い会話を二言三言交わして梅和は台所に向かった。


見慣れた日常、それはけっして退屈ではなく、不満もなかった。

彼女はただ、平坦平凡を望んでいたが、
その望みは呆気なく崩れ去る。



話 神の





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