お江戸の情報屋
□第1話
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「ありがとう、助かったよ!」
「いえいえ。またいつでもどうぞ〜」
本日の全ての依頼が終了し、夕日で染まった町中を鼻歌交じりで歩く。
ここは江戸。かつては「侍の国」と呼ばれていたが、今は空を異郷の船が飛び交い、街は異人が歩いている。
私はそんな街で、情報屋なんて仕事をやっている。
まぁでも普段取り扱う情報といえば、
どの店のセール品が一番お得か、とか。
花火大会等のイベントの穴場スポット、とか。
夜逃げする時の安全ルート、とか。
日常生活で必要になる(?)情報程度だ。
「ポン吉くん、元気になってよかったなぁ〜」
そんな情報を扱うだけじゃお金にならない時もあるので、
依頼された情報の提供だけでなく、その情報の活用をお手伝いしていたりする。
現在も、ポン吉くん(犬)が病気になってしまったから助けて!との依頼に対し、
良い病院の紹介・そして忙しい飼い主に代わって、その病院からの退院手続きとお迎えをしてきたところだ。
「…あ。」
前から向かってくる人影に足を止める。
「よぉ〜まめこちゃん。繁盛しているようですね〜いいですね〜羨ましいですね〜」
ニヤニヤ笑いながら私を見下ろす銀髪の男性。
顔見知り、と言うよりは、友人と言うほうがしっくりくる関係。
万事屋 坂田銀時だ。
「やぁ銀さん。いつも通り暇そうですな」
「まめこちゃんがうちのお客さんとってんの。だから暇なの。お仕事ちょうだいよ」
私のやっている仕事は、確かに万事屋の仕事と被っているところがある。
彼らの機会を奪ってしまっている自覚はあるので、銀さん達"万事屋"に申し訳ない気持ちがないわけではない。
「いつもすみませんねぇ。この前紹介したお仕事はどうです?」
だからたまに仕事を請け負ってもらったり、紹介したりしているのだが…
「あ〜…あれね。クビになっちゃった!」
「またですか!?」
…長くは続かない。