短編(限良)

□雑音だらけの交差点
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久しぶりに出掛けた街は、自分達が住む町とは比べものにならないほど交通が多い。
信号が赤に変わって立ち止まった交差点では、絶え間無い車とバイクが容赦なく排気ガスを撒き散らしていく。
あまりの空気の悪さに隣に立つ人物が心配になり顔を向ければ、ちょうど向こうもこちらを向いた。

『大丈夫か?』

声を出したはずなのだが、騒音に掻き消えて言葉にならなかった。
だが意味は通じたのだろう。
良守は頷くと笑みを浮かべた。
しかしすぐに眉を寄せて口を開く。

『志々尾は、大丈夫か?』

やはり声は聞こえなかったが、その表情と口の動きで何を言っているのか大体は分かる。
だから今度はこちらが頷いて笑ってやれば、良守もほっとしたように笑った。

『でも空気が悪い』
『確かに。早く帰りたいなー』

無言の会話は続いていく。
だが、あと少しで信号が変わるのが分かり、楽しげな良守に目線を合わせる。

『?…しし、』

『   …   』

たった一言だけ、声に出さずに言葉を零せば、その顔は見る間に赤く染まっていく。
真っ赤な顔に、伝わるものだなと感心する。

「お前っ!!こんなとこでっ……」
「誰も聞いてないだろ」


それはただ、二人だけに伝わる言葉。

帰ったら、もっと囁いてやろう。
全部が聞こえるとは、限らないけれど…。


END.


お題配布サイト様=ひよこ屋












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久しぶりの限良!!!
相変わらずこの二人書くとなんか癒される(*´∀`*)

家で言葉が聞こえないのは、まぁ夢中で聞こえてないだけですがね←

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