Short Story

□ある昼下がり
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「ん?柳生、どうしたんじゃ、そんなとこで。」
「あ、仁王君。それが…。」
昼休み、いつものように昼寝をしようと屋上へ向かう為に中庭を過ぎようとすると、俺のダブルスパートナー、柳生が花壇の付近にかがみ込んでいいるのを不思議に思い、声をかけると木から鳥の雛が落ちていたのを見つけたのだと大事そうに手の上に乗せた鳥の雛を俺に見せてきた。
「巣に戻したいのですが、私は木登りができないので困っていたんです。
このままにしておくのは、かわいそうですし。」
そう言うと、シュンと俯いてしまった。
「それじゃあ、俺がそいつを巣に戻してやろうか?」
「本当ですか!?仁王君!」
さっきとは打って変わって嬉しそうに俺を見つめてくる柳生。
今、柳生に犬の尻尾が付いていたらはちきれんばかりに尻尾を振っていそうじゃな。
「本当じゃ。」
俺がそう言うと、今度は、『よかったですね。お家に帰れますよ』と雛に話かけていた。
「ただし、お礼はきっちりしてもらうぜよ。」
「…わかりました。何がいいですか?」
やっぱり雛を巣に返したいのだろう。少し考えていたが了承した
「それはその時までの秘密じゃ」
「まったく…わかりました。それではお願いしますね。」
俺の言葉に呆れつつも柳生は、俺に雛を渡した。
「了解なり。」
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