Long Way

□トリップしちったよオイ
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(間)



「……帰るぞ」

「はい」

ちょっと待てぇええい



あやうく取り残されかかった優姫は、マンホールの中から飛び出した。



「待たれよ!スルーはよくない!そこは助け出すとかさ、ないわけ!?」



追いていかれるのは嫌だった優姫。

飛び出すと同時に早口でしゃべりだしたが、ふと我に返って前を見ると、呆気にとられて見つめる跡部がいる。


無理もない。
いきなりマンホールから飛び出してきたのもあるが、今の優姫は全身びっしょりだった。


おそらくマンホール内の湿気にやられたのだろう。



「お前、全身ずぶ濡れだぞ」

「え…」



言われて初めて、優姫は自分の恰好を見下ろした。


服装はさっきまで着ていた部屋着のままだったが、上下ともにぺっちょりと濡れている。


手を頭にやると、こちらも少し湿っていた。



「あれまー」といいながら自分の服を見ている優姫を見て、跡部が口を開いた。



「まぁなんだか知らねえが、そのままじゃ出歩けないだろ。着替えの服を恵んでやるよ」



さすがお坊ちゃま
マンホールから出てきた不審者に服を恵むとはだいぶ懐が深くいらっしゃる。



「えっ、お邪魔していいんですか」

「あぁ」

「うぉおおおおおおお!!!」



あの跡部屋敷にいけるとな!?
よくわかんないけどもしやここはテニプリ!?


優姫はテンションが一気に上がった。



「おい、聞いてんのか!名前はなんだ!?」



優姫が一人でニヤけていると、跡部が声を大にしていた。
何回かの問いかけを優姫がスルーしていたらしい。



「はいっ!羽織優姫であります隊長!」

「隊長?…まぁいい、俺は跡部だ、跡部景吾」



うわマジの跡部だ。
優姫の興奮が最高潮になる。


こうして優姫は跡部宅にお邪魔することになった。



星夜、どうしてるかなぁ…




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