せぷてっと!

□交流だって大切
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月に二回ほど開催される握手会
その直前の控え室もまた、結構ごたつく


「あぁあーー!!メイク全然おわらないよーー!」


一番支度に時間がかかるのは柚菜
メイクとヘアスタイル両方にこだわるので、一番最初に入るが一番最後に終わる


「時間かけすぎだろ」


ごたつく柚菜にあきれた眼差しを向けるのは
彼女とは正反対に、一番最後にきて一番最初に終わる星夜

柚菜がいそいそとアイラインを引きながら口を尖らせた


「星夜があっさりしすぎなんだよ!アイメイクとかほぼしてないじゃん!」

「えーシャドウ二色載せたぞ一応。柚菜が凝りすぎなんだろ、何色使うんだよ」

「四色とあとラメ二色」

「やば」


そんな柚菜の座る椅子の脇では
スタイリストによるヘアセットが完了したばかりの茅がひょこりと顔をだし、柚菜のコスメを興味津々にのぞいていた


「Y……S…?」

「イヴ・サン○ーランだよ。これはフェイスパウダー。そっちが下地」

「ええっうっそ、それ8000円とかするやつじゃん!?」

「はっせんえん!?」


柚菜の隣で前髪チェックをしていた秋が驚愕の声をあげて
判明した値段に茅が口をあんぐりあける

中高生にとっての8000円は高い
アイドルとはいえ、高い

しかし、柚菜はおしゃれに関しての出費を惜しまない


8000円のフェイスパウダーを受けて
秋までもが興味津々に柚菜のコスメをのぞきにきた


「うわーいいなー。やっぱ崩れにくいの?肌ツヤとかもよくなったりすんの?」

「そりゃそうよ。カバー力も半端ないからマジでこれ。秋は最近何使ってるの?」

「いやもう私は普段エク○ルで気合いれるときにR○Kつかうくらい」

「何語…?」

「星夜疎すぎ」


同じアイドルでありながら生まれる知識格差
アイドルになったからといって、自動的に化粧品に詳しくなるだけでもメイクが好きになるわけでもなかった


「逆に星夜何使ってるの」

「ちふ○」

「「ちふ○!」」

「何だよ馬鹿にするなちふ○すごいぞ!」


そんなやり取りが柚菜の周辺で行われている中、少し離れたところでは



「今日のツインテ位置どこがいいとおもいますかー?」

「服的にカントリースタイルのほうがいいんじゃない?軽く巻いてあげよっか」

「おねがいします!」



実乃が、ウキウキとした様子でスタイリストの音宮に髪をセットしてもらっていた
ツインテールにもいろいろあるのである


握手会やコンサートのヘアスタイルは、自分でやるもやってもらうも自由だ

年少組の実乃と茅はだいたいいつもやってもらう派で
短髪の秋とスタイリングにこだわらない星夜はほぼやってもらわない派
沙耶と優姫と柚菜は時と場合による派である


大きな鏡の前からまた場所は移って
それぞれの荷物がある机の前では、優姫が2つの香水瓶を手に持ちながらうんうん唸っていた


「うーーん迷う決められない…。さやっちーどっちがいいー?」

「んー?あれ?それ新しくない?」


優姫と沙耶
センター争いをする関係だが意外とギスギスしていない

新曲のセンター発表の直前は少しピリつくが、そんなもんである



「そうなのー!瓶がかわいくて一目惚れしちゃって。買ったときはリボンついてたんだよ、ほら」

「わー!ほんとだ可愛いー!ねえ、ちょっと嗅がせて」

「いいよー!」


香水の匂いを嗅ぎくらべながら
沙耶と優姫がわいわいと今日の香水を決める


そしてそれが決め終わった頃に

マネージャーの瓜我が、はいスタンバイしてーと言いながら控え室に入ってきて

まだメイクの終わりきってない柚菜が悲鳴をあげた



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