Long Way

□夏だ!海だ!トレーニングだ!(第三章)
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翌朝


朝食をとるべく食堂にテニス部陣が集まり始めていたところに、優姫の元気な声が響き渡った。



「おっはよーEverybody!!今日も元気にいこうぜぇ〜!!」



朝からテンション最高潮。
そして無駄に発音がよい英語部分。


るんるんと今にも踊りだしそうな優姫のその後ろで、まだまだ脳が起きていませんといった感じの星夜が目をこすっていた。


しかしながらがっちりと優姫の服をつかんでいて、捻挫が治りかけの優姫の駆け出し防止対策をしていることが分かる。



「あっ、星夜見てちょ!朝食にトマトが!!」

「…んー」

「星夜の分も食べていい!?」

「…(コクリ)」

「いえええええい」



清々しいまでの正反対ぶりである。
元気な優姫はすでに席についていた向日、芥川を目にとめると星夜を引き連れてその近くまでやってきた。



「おっは〜岳ちゃん!ジロちゃんもおはよ!」

「お〜〜優姫〜〜」

「はよ。温度差激しすぎだろお前ら」

「星夜低血圧で朝弱いから仕方ないんだよ」

「お前はなんでそんなエネルギッシュなの」

「いっぱい寝た!!!」

「そっか」



ツッコミどころ満載の優姫との会話を、向日がさらっと流して終わらせる。
優姫の相手を朝からまともにしていたら一日が持ちそうにない。


向日はその後ろの星夜に目を向けた。



「星夜、おはよ」

「…がくと?はよ」

「ここ座れよ」

「うん」




向日が自分の隣を示すと星夜が素直にそこに座る。
じゃあ優姫も!と優姫は向日の正面にいる芥川の隣に座った。



「おはようさん」

「あっ、侑士!」



もともと向日の隣の席(星夜とは反対側)に座る予定だったらしい忍足が戻ってきてそこに着席する。


優姫は昨日のことを思い出して少しだけ動揺をみせたが、すぐさまいつもの優姫に戻った。




「おはよう侑士!昨日はありがとう!」

「足はどんな感じや」

「ちゃんと安静にしてたから腫れは引いたし普通に歩けるよ!」

「それは良かった、ええ子やな」

「!」



フッと微笑まれて、きゅんと心臓がひきしまる感覚がする。
どうもおかしい。

この感覚はなんだと優姫がとまどっていると、上から新たな声が振ってきた。




「調子に乗って走るんじゃねえぞ」

「!?」



いつの間にか現れた宍戸と鳳が優姫の後ろにいた。
おはようございます、と鳳が笑顔で挨拶してくれるので、まずはそれに挨拶を返すことにする。



「えー走れそうな気がするけどな」

「えーじゃない、長引かせたいのか」

「ぶぅうぅう」

「ぶぅうじゃな……なに言わせんだ!」

「理不尽!!」



宍戸にぽかっと頭を叩かれて、優姫が反抗する。
今のは理不尽ですね、と鳳が共感したので、ついでに鳳も叩かれる羽目になった。


にぎやかな優姫周辺とは対照的に、向日と星夜は静かに会話をすすめる。



「寝れなかったのか?」

「いや…朝はいつもこんなんだから。寝れたよ」

「へぇー」



眠そうな星夜の横顔を、向日が観察する。
うつらうつらとして油断するとまた寝てしまいそうなその様子は、まるで芥川を見ているようだ。



「星夜、まだ全員揃わないし寝てれば?」

「んー……」




星夜が睡魔あんど二度寝の誘惑と葛藤していたその時。



「寝ぼけた面だな」



その上から威圧感のある声がかかった。
その声に反応して、星夜が少しだけ目を覚ます。



「……じじいとは違うんだよ体のつくりが」



星夜に声をかけたのは真田だった。
眠いながらも応戦してくる星夜に、真田は少し呆れたような表情になる。





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