Long Way

□充実(?)した一日
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今朝の会話。



「あれ、星夜は立海の全員と会えたんだっけ?」



二人して部屋で制服に着替えていた時、優姫がふとそんなことを言った。



「ん、いや、同じクラスの二人のほかには、丸井とジャッカルだけ」

「あ、そっか、道案内してもらったんだっけ?それにしてもまさか弦ちゃんの前とはねー!」

「ほんとだよ。…っていうか、なんだその不釣り合いなニックネームは」

「少しは可愛げが出るかとー」

気持ち悪くなるだけだよ



その言葉通り、うげ、と顔をしかめる星夜。
しかし優姫は気にせず、面白いからいいんだYO!となぜかビシリと指先を星夜に向けた。

星夜は無視した。



「お前は?昨日は誰にあったんだっけ」

「ん?えーっとね、新たにあったのは亮ちゃんとチョタ、とジロちゃんだからー」

「あと会ってないのは日吉と樺地か」

「うん!だから明日会おうと思って…あ!」



すると唐突に、優姫が思いついた!と声を上げた。
その声のボリュームに星夜がビクリとする。



「な、何だよ」

「今日の課題!」

「…課題?」



不思議そうな顔をする星夜。
それをうれしそうに見て、優姫は得意そうな顔で笑った。



「優姫、今日のうちにテニス部全員に会ってくる」

「えぇーーーー」

「星夜も頑張ってね」

「俺もかよ!」



なんだか大変な一日が始まる気がした。


――――――




(in氷帝)



休み時間をむかえ、今日も隣の芥川の寝顔を眺めていると、教室に見覚えのある顔が入ってきた。



「あ、樺…っ!」



声に出そうとしてあわてて思いとどまる。
その樺地は優姫には特に視線をよこさないまま、宍戸の方へ歩いていくと、何かを手短に言ってさっさと踵を返した。


何の話だろうか。


優姫はちょこちょこと宍戸の方に歩みよった。



「ねぇ、ねぇ亮ちゃん」

「りょ…!?その呼び方やめてくんねぇか…」

「今日の昼休みどっかいくの?」

「はぁ?」



いきなりの質問に宍戸が顔をしかめる。



「どっかっつーか、ミーティングだけど」

「ミーティング!?ミーティングってあれだよね、部活の?」

「あぁ」



こ、れ、は、チャーーンス!

心の中で優姫は躍り上がった。


ミーティングということはレギュラー全員に会えるに違いない。優姫は思い切って宍戸にお願いしてみることにした。



「ねぇ、優姫もミーティング行っていい!?」

「…は?」



芥川を叩き起こそうとしていた宍戸の動きが止まる。

常識的に考えればおかしな話だ
つい昨日転校してきた奴が、入ってもいない部活のミーティングに顔を出すなんて



「跡部目当てならやめとけ」

「ち、ちがうちがう!け…跡部はん目当てじゃないっすよ!ちょっと部活見学もかねて」

「はぁ?なんで男子テニス部のぞきに来るんだよ」

「あれだよ、その、マネージャーとかやってみようかと」

「……」

「ねぇねぇ、お昼持参?ねぇねぇ」



宍戸が首を縦に振ってくれないので、仕方なく、若干うっとおしがられながら優姫は、彼とそれに引きずられる芥川に勝手にちょこまかとついていった。




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