Long Way

□always自由時間
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二人は、それぞれ充実した日々をすごしていった。


(氷帝:体育の時間)



「よっしゃぁああ!短距離キターーーー(゜∀゜)ーーーーーー!」



転校してから一回目の体育。
優姫は外に出るなりピョンピョン飛び回った。



「お前、短距離好きなのか?」

「イエーース!もう愛してるよ短距離!はやく走らせろーーーい!」

「…そうか」



最近優姫のテンションに疲れてきた宍戸。
芥川は体育着に着替えはしたがうつらうつらで反応するどころではない。


優姫が誰が見てもわかるくらいぴょんぴょんとはしゃいでいると



「相変わらずテンション高っけぇなぁ」

「むむっ!?」



どこからともなく向日が現れた。
同じく体育着だ。

しかも飛び跳ねている



「はれ?なんで岳ちゃんがいんの?」

「岳ちゃんって何だよ!……合同授業だろ?」

「ごーどーじぎょー?ほほほう!なるほど、一緒にするわけですな?」

「オラ、はやく並べよ」

「はーーい!」



一通り会話をして面倒見の良い宍戸に引っ張られるようにして優姫は列の方へ向かう。

もちろんはじめての授業なのでどこにならぶのかわからなかったが。



「じゃあ羽織さんここに──」

「羽織はここだぞー」

一番前かよ!



羽織さんはもっと大きいーー!!
と先生に猛然と抗議したが、認めてもらえず。



「ふんだ、いいもん、一番最初に走れるもん」



まだ背の順に走るとは言われてはいない。
なんとも自分本位である。


体操を済まして、準備運動も万全にして。
ついに走るときが来た。



「名前順に走るぞー」

「一番じゃないっ!?」



なんだよー
もうスタートラインにたって準備をしていたのに! 



とその場でいじける優姫
邪魔極まりない。



「お前な…すぐ回ってくるんだから待ってろよ」

「ああぁんひどぅい!」



そして宍戸に引きずられて列に戻らされる優姫。

しばらくじたばたしていたが、それでも抜け出せないとわかると観念しておとなしくなった。



「次、羽織――――――」

「待ってましたぁああああああ!」



数分後、とうとう番が回ってきた優姫は名前を呼ばれ終わる前にもろ手を挙げてスタートラインへ躍り出た。


3人一組で走っていく50メートル走。
これが終わると次は百メートルだ。



「位置について――」



優姫も含めた三人がスタートの体制をとる。

宍戸がチラと優姫を見ると、その目はゴールを見据え、らんらんと輝いていた。





「―――ドン!」



はたが振り上げられると同時に飛び出していく優姫。

一気に加速をして横の二人を引き離す。
そしてそのまま単独ぶっちぎりでフィニッシュラインを切った。




そのタイム、5.94




「ひゃっほーーー!やーったやった羽織さん一位だもんねーっ!」

「「……」」



唖然とする生徒一同。
先生もポカーンと口を開いている。



「すっげー!すっげーじゃん優姫!」



向日と宍戸も例外なくぽかーんだったが、唯一芥川だけが興奮した様子ではしゃいでいた。



そんな三人のもとへ、優姫は満面の笑みで戻ってくる。



「どうよどうよ、優姫チョーーー天才じゃね?すごくね?」

「マジマジすっげーよ!チョーはえーじゃんっ!かっこEー!」

「だしょだしょっ!?いっやージロちゃんわかってるなぁー」

「速ぇなほんと…あ、ジロー、お前次100メートルだぞ」

「Aー………」



宍戸に言われてめんどくさいCーと再び瞳の輝きをなくし、ダラダラ歩いていく慈郎。


今度はさっきから興味津々に見ていた向日が優姫に話しかけた



「なぁなぁ、お前なんでそんなはやいんだよ?」

「お、知りたいかな?優姫ちゃんの速さの秘訣を!?」




こんなことをいうと、星夜ならまちがいなくスルーか知りたくねーよという
だが向日は知りてー、相変わらず飛び跳ねながら聞いてきた。


そして優姫のテンションはますます上がっていくのだ



「実はですねっ、優姫ちゃんはちーっちゃいころからいたずらっ子なので、怒ってる人から逃げるために足がきたえられたのだっ!それゆえ速いのであーる」

「…………ほんとかよ」

「あーっ、信じてないね、本当なんだよ!まぁ天性のものってのもあるけどーー星夜から逃げるのはマジで大変なんだから!」



これは事実である。




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