アンリーズナブル

□エンカウント
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配属初日
羽織優姫は走っていた

公安局へと向かっていたはずが、途中で急遽連絡が入り、今から送る位置情報のところに行けと指令がきたのだ


「計画的に出たのになんでーーー!」


現場の位置は、家から公安局へ向かう道のりとは真逆
初日から遅刻しないよう早めに出たのに全部無駄になってしまった


「間に合わないよー遅刻だよ〜」


言うだけ無駄とわかってはいても、出てしまう泣き言
せめて同僚となる人が優しいことを祈って、優姫はひたすらに手と足を動かした




その頃事件現場では


「遅ぇな…今日から来るはずなんだが」


本日より優姫の相方となる跡部景吾がいまかいまかと新米を待っていた


「跡部さーん、もう行きましょうよー」


ぶーたれたような声を上げたのは執行官の切原赤也
現場には、すでに四人の執行官も到着済であった


「馬鹿言え、新米置いていくわけにいかねえだろうが」

「でもー…」

「す、すみませーーーーん!!」


そこへようやく優姫がかけこんできた
跡部のレイドジャケットを確認し、息も整えぬままに彼に敬礼をする


「遅くなって、すみませんっ!本日より、配属の、羽織優姫と申します!よろしくお願いします!」


突如として舞い込んだ優姫という存在に、場が一瞬止まって
最初に声を上げたのは切原


「うっそめっちゃ可愛い子じゃん!」

「えっ!?」


その声を受けて優姫はやっと跡部以外の存在に気がついた
うわーっすみませーん!と言ってから再度執行官四人のほうへ向いて自己紹介をする

切原がだらしない顔になりながら自己紹介を返そうとすれば、跡部がそれを無遠慮に遮った


「監視官の跡部景吾だ。執行官も一人一人紹介してぇとこだが時間がねえ。とりあえずこれを着な」

「は、はいっ」


ちょっと跡部さん!という切原の抗議を無視して、跡部がレイドジャケットを優姫に渡す

優姫があわあわしながらそれを着れば、即座に状況確認が始まった


「全員改めてデータを確認しろ。今回の星は二人。この廃工場区画内にいることは間違いねえが細かい位置までつかめてねえ。爆弾の知識もあることから何かしらの攻撃をしかけてくる可能性もあり。まずは二手に別れて追う」



跡部の迅速すぎる説明に、優姫はデバイスを起動して聞き漏らさないようにするので精一杯
半分も頭に入ってこないうちに、跡部は次の指示にうつっていた


「双烹、仁王といけ。あと羽織監視官に諸々説明しろ」


自分の名が出たことにはっとして
跡部の視線を追えば、双烹と言われた女性が少しだけ眉をあげている


「それはそっちの役目じゃ?」

「んな時間ねえ。いくぞ、樺地、切原」

「ウス」

「え〜俺こっちっすか!?」

「つべこべ言わずについてこい」

「うぃーーっす」


どうやら今から別行動のようだ
歩き出した跡部にすぐさまついていった体格のいい男性(彼がおそらく樺地)と
じゃあまた後で〜とヒラヒラ手を振って去っていった切原を見送れば

優姫は双烹と呼ばれた女性と、銃型の何かをくるくる回している男性(彼がおそらく仁王)と残されてしまった



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