アンリーズナブル

□開匣
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双烹星夜
執行官
女性

元監視官

公安局重要指定事件219の捜査中、犯罪係数が急激に上昇

セラピーによる治療を行い、回復不能と判定
執行官へ降格





……



「どっ…どうしよ〜〜〜〜」


覗いてしまった
双烹の経歴を覗いてしまった
そして出てきたのはとんでもない事実だった


彼女の言った、"跡部と同期"というのはそのままの意味で
彼女は元は監視官だったのだ

それを知れば
跡部の彼女に対する接し方は納得だし、彼女が本来上官であるはずの跡部に粗雑な言葉遣いをするのも納得だ


そして監視官だった彼女は
この事件219によって潜在犯へと落ちた


「しかもこれ…」


犯罪係数が上昇して戦線離脱してから執行官として配属されるまで、5ヶ月も空いている

何か酷い怪我をしたのか
何とかして犯罪係数をもどそうとしたのか
それとも……


事件219
閲覧権限はあるから覗くことができるが、おそらく生半可な内容ではないだろう
今はこれ以上の衝撃を受け止める覚悟と余裕がない

また今度にしよう、と優姫は人事課のページを閉じた
が、そこでまた別のことに気がついた


執行官歴が長いという仁王は、もしかしたら彼女が監視官の頃を知っているのでは…?


経歴を見た限り
双烹の執行官歴はこの月でおよそ1年半を迎えたところ
監視官だった時代を含めれば公安局歴丸4年

それでは仁王の経歴は…?


優姫が再び手を動かし
人事課のページを開こうとしたとき


「会議ぜよ、若いの」

「どわぁっ!?」


突如として間近で聞こえた声に、優姫は椅子ごと飛び上がった

心臓をばくばくさせながら声の方を向けば、薄ら笑いをしている仁王がいる


「化け物でもみたような反応じゃの」

「いっ、いやぁ全然そんなことは、えっと、すみません」


全然足音がしなかった
それに、ちょうど経歴を覗こうとしていた本人だったので尚更びっくりだ

優姫はなんとか心臓を落ち着かせながら仁王に確認した


「会議って…分析室でですか?」

「プリッ」


肯定か否定かわからない
固まっていれば、分析室じゃよ、と言い直してくれる

最初からそう言ってくれ


「ありがとうございます。えーと、あれ?なんでわざわざ仁王さんが?」

「たまたまここに用があっての。呼んでこいって言われたぜよ」


なるほど



というわけで、優姫は仁王と一緒に分析室へと向かうことにした


仁王は切原と違い、おしゃべりではないらしい
特に彼からは話しかけてこないので、こちらから話を振ってみる


「あの、私のこと若いの、って言いますけど、仁王さんって何歳なんですか?」


仁王がちらりと優姫をみて、それからニヤッと笑う


「ケロケロ」

「けろけろ!?」

「ケロケロ歳」

「…………」


教える気ないなこの人

とてもじゃないがすぐには理解できそうのないこの同僚に
双烹のことなんて聞けやしないと優姫は心の中だけでため息をついた



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