Long Way
□always自由時間
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実際普段なら圧倒的に優姫のほうが足が速いのに、優姫が何かやらかした時などは星夜はものすごいスピードで追ってくるのだ。
「星夜ってあの……あいつか?」
初対面のときに目の前で謎行動を起こされた向日は、星夜のことをあまりよくわかっていない。
「いぇーす!もうホントに恐いんだよー捕まったら丸焦げだよーん」
「いやいやどんだけだよ」
「おーい向日ー」
「!悪りぃ、友達呼んでっからまたな」
「うん」
さてどうするか…。
向日が友達に呼ばれて行ってしまった後、優姫は近くにいた3人の女の子の所へ顔を出した。
「ねぇねぇ、何話してるのーあたしもいれてー」
「「!?」」
一瞬場の空気が硬直したが、優姫の人懐っこい笑みでそれがすぐに戻る。
それを感じ取り、優姫は言葉を続けた。
「あ、あたし羽織優姫だよ、知ってると思うけどー あ、優姫でOKよ!」
そういって思いっきりブイサインを突き出す。
女の子たちはクスクスと笑った。
「羽織さんって…」
「non.non!優姫!」
「…優姫ちゃんって向日くんと仲いいの?」
「ほ?」
「あと宍戸くんとも、さっき話してたよねー」
どうやらなんとなく自分に向けられてた視線はそれだったらしい
優姫はうーむと顎に手をやった
「仲いいってかね、ちっとお世話になったんよ」
「「「お世話?」」」
「うん。職員室にたどり着けなかったの」
あはあは、と手を顔の前でペラペラ振る優姫
女の子たちはどう反応したらいいのかわからないようだ。
「で、亮ちゃんには職員室まで送ってもらってー!で同じクラスになったからーみたいな。あ、そうそう、校庭くるのにも連れてきてもらった」
そういって笑いながら、今度はコツンと頭を叩く。
これが自然な動きになって、むしろ可愛くなってしまうのが優姫の長所だ。
「い、いいなー!宍戸くん優しいもんねー」
「向日くんは?」
「おぅ、岳ちゃんはね、ちょっくら身内がお世話になりましてー」
「身内?」
「てか亮ちゃんに岳ちゃんって…」
「うん、ってかさ、私1人でしゃべってもなんだしみんなの名前教えてよ!」
こうして優姫は最初の女子の友達ができた。
3人はそれぞれ彩夏と柚菜と晴という名前で、この後も優姫はこのよう形でどんどん友達を増やしていくのだった。
「あ、優姫、次だよ」
「うぉおお!待ってたぜイヤー!どっからでもかかってきやがれってなモンキー!」
そして今度は100メートル走のスタートラインに目にもとまらぬ速さでたどりつく。
「位置について―――」
その言葉でCとDの全員が優姫に目を向ける。
あたりに流れる静寂
「―――よーい、ドン」
優姫は走る。
皆の期待を裏切ることなく、一番にコーナーをかけ、そして圧倒的な速さでゴールする。
12.88
「いぃやっほォオオオオオ!!!記録伸びた伸びたいやっほォオオオオ!!」
優姫は学年でトップの俊足になった。
そして無駄にテンション&足がハイなヤツと呼ばれるようになった。
―――――――――――
(立海:体育の時間)
「―――真田ぁー次なにー?」
「体育だ。時間割はまだ持ってきてな…」
「うぇーーー体育かよ、めんどくせっ!サボろっかな」
「サボる!?たわけたことを言うな!」
「…っ、声でか」
とっさに耳をふさぐ星夜。
そうかまたもやこいつが風紀委員長ということを忘れていた。
「真田ー血圧あがるぞー年よりは気をつけろ」
「なにを馬鹿なことを!はやく更衣室で着替えんか!」
「へいへーーーい」
耳をふさいだまま体育着を持って教室を出る。
一応学校の構造は覚えてあるので更衣室に向かい、入って着替えていると沙耶たちが入ってきた。
「あれ、やっぱ先行ってたの?」
「更衣室の場所よくわかったねー」
「んーまぁな」
受け答えをしながらせっせと着替える星夜。
あっという間に着替え終わり、ふと周りを見てみると、少し人数が多いように感じた。