Long Way
□探索!ヒロイン1が立海へ
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「―――っつってもなぁ」
あいつ、ここまで来れんのか?
6時間目の授業中、星夜ははぁ、とため息をついていた。
まぁ跡部に頼めば車でよこしてくれるだろうけど、どっちにしろ校舎までは来れないだろうし。
「迎えにいくしかない、か」
めんどくせぇな……
なんて思っていると前の席の人が先生にあてられる。
自分の教科書に目を落とし、それからとなりの人のを見てみると、なんと2ページも進んでいる。
えっと…今どこだ?
前の生徒が黒板に書いている問いを見て、自分に回ってくるだろう問いを確認する。
が、なにやらわけがわからない。
う゛ぁ………
星夜は半ばあきらめ状態で、自分に回ってくるのを待った。
……
「ここでございます」
「立海ついたぜいぇーー」
それからしばらくたって、放課後となった立海に、優姫は到着していた。
「では、失礼します」
「さんくーべりまっちょーー!」
自分を送ってきてくれた車を手を振って見送り、優姫は立海の正門を見る。
そして
「っしゃあ!探検するどーー!」
元気のよい掛け声とともに校内へダッシュで入っていった。
「あっ…君!」
校門付近にいた教師が静止をかけるが間に合わず。
それから彼女は立海の広々とした校舎の中をさまようハメになった。
……
「あ゛ー………あったま痛ぇーー」
その頃、星夜は沙耶とともに教室を後にしていた。
「そりゃあんだけやれば痛くなるよー」
「だってよ!あいつが――!」
「はいはい、落ち着いて落ち着いて」
「〜〜〜〜っ」
星夜があの後あてられた時。
適当に答えたものの、無論はずれで、先生から注意をうけた。
それを星夜はろくにきかず、また呆けにはいったわけだが、それが真田の気に障らないはずがない。
そして案の定授業後真田と喧嘩になり、沙耶と柳生による仲裁が入るまで口論したのだ。
「星夜もよくやるよね〜〜疲れない?」
「あんまり。でも耳は痛くなる」
「両方とも怒鳴ってるもんね」
「あっちのが声大きい」
「わかったわかった」
校舎から出ると、外はいい天気で青空が見える。
少しまぶしい日差しに星夜が目をそらした時。
その方向にあった校舎のすきまを、何かがものすごい速さで突っ切っていった。
「…………」
直視したくない現実がいやでも向かってくる。
あの馬鹿!
「ていうか星夜、今日友達来るっていってたけど大じょ…星夜?」
「悪い沙耶、またな」
「え?あ…うん」
状況が理解できないままの沙耶をおいて、星夜は次の瞬間にはその校舎の方へと走り出していた。