Legend2

□第3話 強者
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「え!?今のって追い返すための口実?!」

 呆れた顔してヘイン達を見送り、私は小声でつぶやく。それを聞いたフィンは目を見開いた。私はフィンを見て冷たい微笑を浮かべた。

「ヘインがラッセルと肩並べるようになるのはいつの話でしょうね?ラッセルの実力はこの私と同等、もしくはそれ以上でしょうから…。フフ…ユリウスの指導力も問われそうですね?」

 私はそれだけを楽しそうに言い、仕事を再開させる。不意に、カウンター側から「うるさい。」と言う声が聞こえた。それを聞いてマスターは笑う。

「…グレイさん。来るのは夜だけなんだと思ってました。朝も来るのですね?」

「………」

 カウンター前のいつもの席。そこでグレイはコーヒーをすすっていた。私はグレイに満面の笑みで声をかけると、彼はあからさまに私から視線をそらした。私は首をかしげ彼を見る。

「リュイ。ちょっと買出しに行ってもらえないか?」

「はい。何を買ってくればよろしいでしょうか?」

 マスターに頼まれたお使いを引き受け、私は店を出る。店を出る前に裏の荷台を使って良いと言われた。頼まれた買い物はニンジンが500本。ジャガイモが10キロ。小麦粉が業務用で3袋。コーヒー豆が業務用で2袋だった。たとえ荷台積んだとしても、女の力では運べない量だろうと考える。だが、私は誰に協力を頼むわけでもなく店を出て行った。





 マスターが言っていたいつもの店に行き、私はまず野菜を購入しようとする。だが、丁度ニンジンが切らしているらしく、ジャガイモしか買えなかった。買えなかったからと言って帰るわけにも行かず、他の店も当たってみる事にする。

「悪いね。お嬢ちゃん。」

「お嬢ちゃん?………気にしないでください。盥回しなれてますから。」

 店員に言われた一言が感に障り、私は声のトーンを下げ、ほぼ棒読みで言って店を出た。その時の表情は冷たくなっていた。その表情のまま他の店に入ると、何を恐れたのか、店員はいきなり「ごめんなさい。」と私に謝罪を述べる。
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