短編集
□予言から……後2年…
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「……使えるのか?」
「あぁ。空間移動(テレポート)以外の魔法は…一通り……」
その問いかけにも少年は不適に微笑みながら答える。それを聞いて、ルドルフは眉間に皺を寄せていた。
「…禁術を世に放つということは……世界が滅ぶという事。貴様もただでは済むまい?」
「だからどうした?俺様の計画は…どうせ世界を滅ぼすんだ。それが…遅いか早いかの違いだろ?」
禁術を世に撒く危険性を告げようとすると、少年は微笑を浮かべる。正気か?そう考えながらルドルフは目を見開くが、少年の目に迷いは無い。
ここで協力を拒めば、リヒャルドどころか、ルーシアまでも殺されてしまう。そう考え、ルドルフは眉間に皺を寄せ、「わかった。」と少年に協力することを選んでいた。
「…わかっているな?余計な真似すれば、王女の命は無い。それ以外は全員皆殺しだ。誰かにこのことを喋っても同じだからな?」
「……あぁ。」
少年は不適に微笑みながら訴える。おそらくこの少年なら、王の元へと行けずとも、城内への侵入は簡単なのだろう。少年は不適に微笑を浮かべるだけだった。
「決行は今夜だ。良いな?」
「………」
少年はそう指示を出すとその場からいなくなった。
時間が無い。
そう考えながらルドルフは暗い表情で城内に戻っていた。なんとしても、リヒャルドだけは逃がさなくては……。そう考えながら少年に気付かれることなくできる方法を考えていた。
「?…どうした?顔色が悪いようだが?」
「……大丈夫だ。」
城内に戻ると、フランツが首をかしげて問いかけてくる。
最悪、この男なら…殿下を……。
そう考えるが、誰かに話せばそれだけルーシアが危険になる。結局、誰にも話すことが出来ないまま、夜を迎えてしまった。
こうなったら事前にリヒャルドを逃がすしか……。
そう考えリヒャルドの部屋に行こうとすると、チャールズとセシルの寝室からリヒャルドの泣き声が聞こえてきた。それから少しして、セシルがリヒャルドをあやしながら寝室から出てくる。