短編集
□予言から……後2年…
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「……どうかなされたのですか?」
「あ…ごめんなさい。ルドルフさんも起こしてしまったんですね……。ちょっと怖い夢を見たそうで……」
寝室から出てきたセシルに問いかける。リヒャルドはセシルに泣き付き、しっかりとしがみ付いていた。ルドルフは「そうですか。」と軽い微笑を浮かべ、2人を見送る。セシルは少し歩いた後、「あ。」と足を止め、振り返る。
「…チャールズが…話しあるって……」
「分かりました。」
セシルに言われ、ルドルフは一礼してからチャールズの所へ向かう。どう顔向けすれば良いのか分からない。そう考えながらチャールズの所へと顔を出していた。彼のところには、第一王子も第二王子も揃っていた。
「…お呼びでしょうか?陛下?」
「まだ呼んだつもりはなかったが……。そうか、セシルか……」
チャールズの前に立つと、彼は首をかしげた。それから軽い微笑を浮かべ、「少し確認したいことがあるんだ。」と呟いた。
「…確認…ですか?」
「…リヒャルドがな、少し気になることを口にしたのだ。“皆死ぬ”と……。何も問題は無いんだな?」
チャールズは真剣な表情で問いかける。ルドルフは「特には…」と告げ、問題は無いことを主張する。
「…やはり……ただ夢にうなされただけなのだな……?」
「……リヒャルド様は予知夢を見るわけでは無いのでしょう?夢と…現実の区別が付かなくなったのでは……」
「……だといいが……。先ほどから…“ニグレドも”何かに警戒していてな……」
「………」
チャールズは眉間に皺を寄せながら考え込む。王子達はチャールズの隣で首をかしげていた。
「…万が一の準備は出来ているのだな?」
「はい。抜かりなく……」
「グレイは後数日戻らないな……フランツは?」
「先ほど…帰りましたが……。呼び戻させましょうか?今ならまだ王都にいるはずです。」
「……そうだな。万一のことが起きた時。フランツもグレイもいないとなると、兵の士気が下がる。」
「かしこまりました。」
チャールズの指示に、ルドルフは一礼し、身を翻す。部屋を出て、ルドルフは軽い溜め息を吐いていた。