捧げ物
□最後の願い
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「何がどうなってんだって聞いてんだ!!」
「し・ら・な・い!!何度も言わせないでください!」
「………」
グランディアへの扉を開き、そこに帰ったつもりだったが、ソフィアは応答してくれなかった。故に扉が開かず、現状維持。
いつまでたっても森の中から景色は変わらず、ヴィンがキレる。そのまま、レイチェルはうるさいヴィンを殴り、黙らせていた。
「…ソフィア達に何かあったのでしょうか?」
「さあな……。仮にそうだとしても、ソフィーが簡単にやられることはないはずだ。疑うなら、以前母さんがやった様に、何らかの力でソフィーの力が妨害されているのだろう。」
レイチェルが眉間に皺を寄せると、レアードは腕を組んで呟く。レイチェルは眉間に皺を寄せていた。
(…だとすると、ソフィアが迎えに来てくれるのを待つか、シェリーが一時的にでも結界を解いてくれないと……)
「?………」
色々と考え込んでいると、レアードは首を傾げて周囲を見渡す。ヴィンは彼にどうしたのか問いかけていた。
「やけに静かだと思えば……ユリエとコロンはどうした?」
「「え?」」
レアードの問いかけに、レイチェルとヴィンは目を見開き、周囲を見渡す。
ついさっきまで一緒にいたはずの妖精達がいない。
そう考えると、もしかして……。と、ある予想が3人の脳裏をよぎる。
考えたことを話そうとすると、後方の茂みが揺れた。3人は勢いよく身を翻し、身構える。
「…敵……か……?」
「…むしろ……人だと……いいですね……」
身構えながら呟きあう。少しして、茂みの中から出てきたのは3人の人間だった。
「声が聞こえたのはこの辺りか?」
3人の男女は少し周囲を見渡しながら歩いてくる。3人の内、着物を着た、白く長い髪の男がこっちの存在に気付き、軽い微笑みを浮かべながら近づいてくる。
この3人が味方とも限らない為、レイチェル達は3人から距離を置き、武器を構えていた。
「よるな。何者だ。」
「「………」」