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□第七章 最終試練
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 この景色に見覚えがあった。そう考えると、後ろから誰かに呼ばれた。

「………………………」

 振り返ると、そこには懐かしい友人達の姿があった。ギルやディグルをはじめ、何人かの友人達がこっちに向かって手を振っている。ラッセルも手を振り返し、彼等の所へと走って行った。

「…じゃあ、今夜な…」

 友人の中の一人がニッコリと微笑みながら口にする。ディグルは泣きそうな顔をしていた。

「何だよディグル…。怖いのか?臆病者は来なくていいぜ?」

 泣きそうな顔をしているディグルをみんなでからかう。ディグルは「夜に墓地に近付くのは危険なんだぜ?」と訴えていた。みんなは笑った。

「…お前マジで幽霊の話信じているのか?バッカじゃねぇの!?」

「………………………」

 みんなで怯えるディグルをからかって遊んでいた。ギルだけはディグルを庇う。ラッセルは無表情でこのやり取りを見ていた。

「なぁラッセル。お前からも言ってやれよ。幽霊何かいないって…」

「…いるぜ…幽霊…」

 ディグルを見て爆笑する友人達に、ラッセルは冷静に言葉を発する。この場の空気は一気に凍り付いた。

「俺もディグルの言う通だと思うぜ?夜に墓地には行かない方がいい。取り殺される…」

「ラッセル…お前も臆病者の仲間だなんて思わなかったぜ?」

「そうじゃねぇよ…。俺には…」

「うるせぇ!寄るな!弱虫が移る!」

 そう言って友人達はいなくなる。「どうなってもしらねぇぞ!!」と叫び、残った二人に視線を送った。

「…お前らは行かねぇよな?肝試し…」

「当たり前だろ?行かねぇよ…」

 ラッセルの問い掛けに、ギルは即答する。ラッセルは「その方がいい」と微笑んだ。泣きそうなディグルの頭を撫で、「帰ろう」と告げる。二人は頷いて、町に向かって歩いた。

「…そう言えば…何で幽霊がいるって?」

「世を騒がせてる怨霊も、幽霊の類だろ?」

 帰り道、ギルの問い掛けにそれだけを答える。二人が納得すると、ラッセルは「じゃあな」と言って別れた。
 家に帰っても、肝試しを始める馬鹿どもが気にかかり、眠れなかった。不意に時計を見ると、丑三つ時を回っていた。

「………………………」

 今日、親父達は帰らないよな?と思い、上体を起こす。ゆっくりと立ち上がり、部屋を出た。家を出る前に、トイレに起きたクリスと会い、どこに行くのかと問われた。ラッセルは「馬鹿どもを連れ戻す」とだけ伝え、家を出た。
 馬鹿のことはほっときゃいいだろ。と自分に言い聞かせながら墓地に急ぐ自分がいた。

「………………………」

 墓地は静かなものだった。心配するほどのことじゃなかったかと思い、友人達を捜して歩いた。いくら捜しても見つからず、既に帰ったか、元々来なかったかと判断した。

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