石の輝き

□第2話 決断
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 思いっきり遅刻した。お昼から学校へ通う事にし、茜と一緒にのんびりしている。不意にある事が頭の隅に引っ掛った。

「…やっぱり…梨香も…敵?」

「さあ…。ここまで敵が人間そっくりだと、誰が敵かなんて判断が難しいの…。ただ、夕べ助けを求めてすぐに来られなかったとこを見ると、敵である可能性はある。もしそうでないなら、捕われたか…」

 月華の質問に、茜は簡単に答えた。どちらにしても、警戒は怠れないか…。その事を再確認して、月華は気を引き締めた。
 とりあえず、今警戒しておくべきは学校の先生と昨日の電車の男。それから梨香。この3人に警戒しておけば、今のところは大丈夫だろうという事だそうだ。
 梨香は月華の幼馴染であり、昔からの親友。中学の時に月華が遠くに引越し、高校で再開した。昔から仲のいい友達を敵とは考えたくはない。そんな事を頭のどこかで考えていた。

「…学校に…梨香がいなかったら…梨香は捕われたってことになる?」

「…そうね…。もしいたら、ちゃんと警戒していなさいよ?」

 茜に言われ、月華は頷く。敵であってほしくない。そう願っていた。





 昼。学校に着くと、月華と茜は職員室に呼び出された。夕べ、モニターで誰かと話していた先生と別の先生に怒られる。
 ようやく開放され、教室に行くと、梨香が満面の笑みで出迎えてくれた。その瞬間、茜の警戒心は強くなる。

「月華!昨日どこに行ってたのよ!ずっと捜してたし、携帯に電話しても繋がらないし…もう私寝不足だよ!」

「…ご、ごめんね…。昨日結局家帰ったんだ…」

 月華は言い訳を考える。梨香は口を膨らませ、「なら、連絡入れてよ…」と毒づく。月華は再度謝罪を述べた。

「…ところで…なんで茜さんが一緒なの?」

「一緒にいちゃ…何か問題あるの?」

 梨香は茜を見て問いかける。茜は梨香を鼻であしらい、月華を連れて席に着いた。月華はなるがままに行動し、梨香はなぜかこっちを睨んでいた。

「…約束よ?警戒は怠らないでね?あと……」

「一人になっちゃだめ。…わかってるよ。朝から何度も言われたもん。」

 誰にも聞こえないくらいの声で会話をする。月華は茜の言葉を遮った。茜は「だといいけど…」と毒づき、溜め息を吐いた。
 席に着いて、月華は思い出したかのようにポケットから紋章の紙切れを取り出す。それを茜に見せ、何であるかを問いかける。
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