時空の騎士
□(悪魔編)第二章 新しい世界
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第2章:新しい世界で
ダルシー達の案内で歩き続けて3日、やっと小さな村が見えてきた。
「あの村で休みましょう。」
当たり前だ!と心の中で思いながら、ジャックの意見に賛成する。正直な話、この旅はキースには過酷すぎた。
怪物は襲って来るし、武器はないし…あれ?何で俺武器持ってないんだ?あの遺跡ではちゃんと…腰に…。
「…キース様?いかがなされましたか?」
「あぁ、いや、何でもないよ?」
ダルシー達には隠し事は無駄らしく、キースが不安になっていることはわかっていた。
「あの村、王宮直属の鍛冶職人が店を開いていたはずです。武器を作っていただくのが得策かと…」
ポールは慣れない敬語でキースに意見した。
王宮直属の鍛冶職人≠ニ言うことは、少なからずいい武器が揃っているのだろうと思って目の前の村目指して歩いた。
村についてすぐ、キースは久しぶりに発作を起こして倒れた。
彼が目覚めたのは小さな病院の中で、ダルシー達が心配した顔で見ていた。
「悪い。心配かけたな…」
キースは上体を起こしながら言った。
「もう大丈夫ですの?」
ルーシアは今にも泣き出しそうな顔で聞いてきた。その問いには「いつものことだから。」と笑顔で応えた。
「失礼します。お加減はいかがですか?」
目が覚めて少しすると、看護師らしき女性が入ってきた。彼女はキースの容態を確認し、カルテをまとめて立ち去った。
「ここ…普通の病院とは少し違うんだ…」
「ここは、教会と病院が一つになったこの村特有の施設ですわ。」
キースの疑問をルーシアが応えてくれた。
比較的ルーシアがよく喋るんだ…と思いながら、ベットの縁に座った。
「今は、体の回復に専念してください。」
そう言って魔獣達はルーシアを残してどこかに行ってしまった。
「…俺、嫌われてるのかな?」
ふと、キースは今気になったことを口にした。その瞬間、隣から吹き出すような笑い声が聞こえた。ルーシアは必死に笑いを堪えていたが、我慢出来なかったのか、そのうち、腹を抱えて笑いだした。
「…そんなに笑うことないだろ?本気でそう思ったんだ…」
「…わかってますわ。フフッ…あの3人は他人を嫌うほど器用じゃありませんわ。 ただちょっと…恥ずかしいだけですわよ…素直になることが…」
ルーシアが笑いながら言った言葉にキースは少し勇気付けられた。
「プライドが高いだけなんだな?」
「ハイ。人並み以上のプライドの持ち主達ですわ。」
「…ルーシアにはプライドないのか?」
と唐突な質問をしてみた。ルーシアは少し膨れっ面になっていた。
「失礼ですわよ!わたくしにだってプライドくらいありますわ!」
「そうなんだ…」
「人によって接し方を変えない…これがわたくしのプライド…」
ルーシアは胸を張って自分のプライドを語った。
「キース様のプライドは?」
「俺?俺は‥‥‥‥」
俺のプライドって何だ?
「…プライドを持たない。それも一つのプライドですわね?」
キースは必死で自分のプライドを探していたら、ルーシアが言葉を挟んだ。
「…今俺の心を読んだろ?」
上目遣いでルーシアを睨みながら問う。ルーシアはそっぽを向いてしらを切った。
「俺の心を読むな〜!!」
そう叫ぶとルーシアはまた笑いだした。
「楽しそうですね?」
それから少しするとさっきの看護師が入ってきた。
あまりにも唐突で、気配がなかったので、二人ともかなり驚いた。看護師はにっこりと笑い、キースの隣まで歩いてきた。
「あなた、もう帰ってもいいけど、絶対安静よ?いいわね?」
看護師はキースに薬の入った紙袋を渡してキースを外まで送った。
キースとルーシアは村の中を歩きながら、ふと、武器屋の前で足を止めた。
「…ダルシー達のところに行く前に…ここ、よっていい?」
「もちろんですわ。」
ルーシアの了承を得て、キースは武器屋に入った。
店の中は比較的綺麗で、色々な武器が飾ってあった。
あまり所持金がなかったので、キースは武器の山の中の比較的安いものを見ていた。
「この程度のしかありませんわ。安いものは…」
「…あまり金持ってないんだ…仕方ないよ…」
安いものしか買うことが出来ないとはいっても、そこにあったものじゃ、満足に戦うことが出来ないような物だった。