時空の騎士
□(悪魔編)第三章 再開
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第3章 再開
気まずい空気の中、キース達は武器が出来るまでバイトをして、旅費を稼いだ。数日が過ぎ、今日は武器が出来上がっているはずの日。アルベルは朝から姿がなかったが、キースは泊めてくれた礼を言って旅立った。
「…俺の出身国…なんかやばかったのかなぁ?」
キースは魔獣達に話しかけた。
「…その様なことはないと思いますが…」
「…だよな…」
キースの言葉をダルシーが返す。その言葉にキースは納得した。
でも、あの二人が喋らなくなったのって…俺の出身国の話をした後だよな…。…ひょっとして…知らない内になんか怒らせた?謝った方がいいかな?
…そういや、アルベルは居なかったよな?あいつに言伝て頼もうか…あの二人…俺の話を聞きそうにないからな…。…どこ行ったんだろ?アルベルのやつ…。
そう思いながらキースは鍛冶屋に向かっていた。店の前で、なかから怒鳴り声が聞こえて、一行の動きは一時、完全停止した。
「…中で何がありましたの?」
「…行ってみよう…怖いけど…」
キースはそう言ってドアを開けた。
「…女には武器を作れないってどういうことよ!!」
中に入ると、見知った女が職人につかみかかっていた。
「だから、なんども言っただろ…女には私が作る武器は扱えない…」
「男女差別だわ!私だって幼い頃から剣を握っていたのよ!」
「その辺のなまくら刀と私の武器を一緒にしないでくれ…」
職人と女はやいのやいの言い合っていた。
「…何がどうだって?」
キースは二人の後ろに立ち、話しかけた。
「…俺にも分かりやすく説明しろよ?アルベル…」
「…キース…。…あの日の様な無様なマネしたくないから…武器を持とうって決めたのよ…だけど、このジジィが"女には武器を作れない"って言うのよ!!」
アルベルはルーシアに「酷いよね?」と同意を求めた。ルーシアはその言葉に同意する。
「…なんか訳でもあるのか?」
「…私の武器を女が使えた試しがない…」
キースは職人に理由を聞き、職人はその質問を簡潔に答えた。
「…だから、私をその辺の女と一緒にしないで!!」
職人の言葉に意気込むアルベル。また喧嘩が始まった。
「…だったら…こうしたらどうだ?」
ダルシーはアルベルと職人の間に割って入って提案した。
「…キース様に作った武器がそろそろ出来てるだろ?それを使わせて見たらどうた?」
ダルシーの提案にみんなが同意して、職人は奥から刀を持って来た。
「…刀?」
「一番扱いやすいんだよ…俺にとってだけど…」
「ふぅ〜ん…」
アルベルが刀を手にしたとき、タイミングよく外から悲鳴が上がった。アルベルは誰よりも早く外へと飛び出す。
外では、魔物どもが村の人々を襲っていた。
「あら…ちょうどいい腕ならしじゃないの…。…あの日の腕の礼をしなくちゃね…」
アルベルは預かった刀を抜き、片っ端から魔物を切り伏せていった。
「…普通に使えているじゃねぇかよ…」
キースはそうぼやきながら、ナイフで戦う。魔物は何かを探すようにいろいろなところを徘徊しては何かを壊していた。
「…あいつら…何やってんだ?」
「…さぁ?ただの石を壊しているようにしか見えないもの…」
キースが口にしたことをアルベルが答えた。
「…あのさ、前々から聞こうと思っていたんだけど…。…あの謎の四人、誰?それから、戦闘時にどこ行くの?」
「…謎の四人?…あぁ…ダルシー達…。…悪いけど、説明は後。今は戦いに集中ってな?」
アルベルの質問をキースは保留にして、戦いに集中する。アルベルはキースの行動が勘に触り、やけくそ的に魔物を切り伏せる。その破壊力はかなりのものだった。
しばらく戦い、魔物を殲滅させると、アルベルはキースに刀を突き返した。
「…危ねぇな…」
刀の先端がキースの方を向いていた為、一歩間違えたらキースの腹部に刀が刺さっていた。
「…あぁ。ごっめ〜ん。鞘にしまうの忘れてた」
「…お前…わざとだろ…」
「だったら何?」
「………………………」
この二人のやり取りに魔獣達は殺気をアルベルに向ける。