時空の騎士

□(悪魔編)第四章 二人の時空の騎士
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第4章 二人の時空の騎士





 次の日…。朝起きると、あの四人が何かを話し合っていた。

 声をかけるべきかな?助けてくれたのは事実だし…。…キースは…まだ寝ているんだ…。

 アルベルは階段裏で台所に向かうか、四人に話しかけるかと悩んでいた。

 よし。

 アルベルは意を決して、四人のところに行く。

 名前も聞いてないし…丁度良いよね?…キースは教えてくれないもん…。

「…おはよ。」

「………………………」

 声をかけると、四人は顔を上げた。男衆は直ぐに顔を背ける。

「…おはようございますわ。」

 アルベルに言葉を返したのは、アイスブルーの髪と双眸の女性。

「…長々と滞在させていただき、有り難うございます。」

 彼女はアルベルに礼を言う。

「助けてくれた礼よ…」

 笑顔で応えると、彼女も笑顔で返した。

「…名前とか…聞いてもいい?」

「勿論ですわ…」

 アルベルの問いに彼女が応える。男衆は黙ったまま、何も言わなかった。彼女が紹介するという形で自己紹介した。
 向かって左からダルシー、ジャック、ポール…そしてルーシア。

「…私はアルベル。よろしくね。」

「ハイ。よろしくお願いいたしますわ…」

 アルベルが何を言っても男衆は黙ったままだった。そうかと思うと、男衆は突然立ち上がり、どこかに行ってしまった。

「…私…嫌われてるんだ…」

 アルベルがボソッっと言った言葉に、ルーシアは笑った。

「…ご安心下さいまし?彼らは人を嫌えるほど器用にできてませんわ…」

「…笑わないでよ」

 アルベルの一言にさらに笑うルーシア。終いには腹を抱えだした。

「笑わないでったらぁ!!」

 アルベルは赤面して言った。

「お姉ちゃんおはよー…」

 不意にニーナの声が聞こえ、アルベルは驚いた。

「お、おはよう…」

 アルベルはそれだけ言って台所に走った。

「お姉ちゃん!?」

 ニーナの声が聞こえたが、アルベルは朝食を作るのに集中した。





 今朝のメニューは…ミルクを使ったスープにスクランブル…。トーストにサラダをつけて、普段よりちょっと豪勢だった。
 そのメニューをテーブルに並べると、ニーナは嫌な顔をした。

「全部食べるのよ?良いわね?ニーナ?」

「うぅ…」

 ニーナの好き嫌いは少々問題だ。緑黄色野菜やミルクを嫌うため、ちょっとした嫌がらせになった。

「…アルベル様?」

 フィレナが後ろから声をかけて、アルベルは振り返った。

「…何か…良いことありました?」

 フィレナの指摘にアルベルは笑顔になるだけだった。

「ハイ。フィレナの…」

「♪…フィレナ、この木の実大好きです♪」

 そう言って、みんなで朝食を済ませた。





 朝食の片付けをしながら、アルベルは思った。

 …キースにナイフ返すの忘れてた…。…まだリビングに居るかな?

 洗い物を済ませ、アルベルは居間に向かう。
キース達は今準備が出来たのか、旅立とうとしている。

「…キース…」

 キースを呼び止め、アルベルは彼の前に立った。

「…これ…返す…」

「…あぁ…貸したっけ?」

 差し出したナイフをキースは受け取った。

「…私に頼みたいことって何?」

「いいよ。もう過ぎたこと…」

「そう。気を付けてね…」

「あぁ…」

 アルベルはニーナ達と一緒にキース達を見送った。



£££



 アルベルの家を出て、一行は闇の被害を受けていると言う町に向かっていた。

「…ダルシー…これ返すよ…」

 キースは坑道でダルシーに借りたナイフを渡した。ダルシーは無言でナイフを受け取り、先を行く。

 本当に無口な奴だよな…。

 キースがそう思うと他の3人が笑った。

「だから…俺の思考を読むな!」

「そんなこと言われましても…無意識に流れ混んでくるのですわ…」

「…俺…何も考えられねぇじゃん…」

 ルーシアの言葉にキースは肩を落とした。

「…キース様…」
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