時空の騎士
□(悪魔編)第五章 果てしない旅路(古文書)
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第5章果てしない旅路〜古文書
アルベル達を仲間に入れ、一行の旅は続く。
「…遺跡?」
キースはアルベルの発した言葉を復唱する。
「そう、私達敵がどんな存在なのか知らないじゃない?」
「それで遺跡か…」
一行は何らかの情報を得るために、アルベルの意見を聞き入れ、この世界の歴史を学ぶことにした。ダルシー達魔獣もある程度は知っていたが、敵も暗黙の存在。知る術がなかった。
「…遺跡調査のエキスパートが必要じゃないのか?」
キースの一言でアルベルは足を止めた。
「…私…これでもトレジャーハンターなんだけど?」
アルベルは腕を組、怒った様な表情だった。
「そ、そうなんだ…」
キースは若干怯んでいた。
「…本当はね、お父さんがそれなの…。お姉ちゃん、お父さんの仕事に付いていってたの。だから、遺跡に詳しいのよ?」
ニーナはアルベルの補足説明をしていた。ニーナの言葉に皆は納得する。
一行が赴いた遺跡は、外から見ると古びた感じだったが、中はそうでもなかった。死体がその辺に転がっていたりしたが、それが発する独特の臭いはなかった。
「…変なとこ…」
アルベルは先頭を歩き、周囲を見渡しながら、呟いていた。彼女の呟きに同意するのはフィレナだけだった。
「…何が変なんだ?」
キースは先頭を歩く姿に問いかける。
「…そこに死体があるでしょ?」
アルベルは適当な所を指して言う。
「…遺跡の様な閉鎖空間だと、死臭で空気が重たくなるんだけど…空気がキレイでしょ?…だから変なのよ…」
アルベルはそう言いながら先行する。
「…あのさ…?」
キースはアルベルに声をかける。アルベルは一端足を止めて振り返る。
「…何でこの遺跡なんだ?」
「人から聞いたの。『歴史について知りたいならこの遺跡だ』って…」
キースの問いにアルベルは淡々と答えて、先行する。
「あっ…………………」
突然、アルベルは足を止め立ち止まった。そのため、ニーナはアルベルの背にぶつかった。
「…何ぃ〜?」
ニーナは鼻を摩りながら、アルベルが立ち止まった理由を問う。
「…古代文字ですね?」
不意にフィレナがアルベルの肩に止まって言っていた。フィレナはしばらく壁と睨めっこする。その壁には、古代文字でなにかを記していた。
「…駄目です。…フィレナには読めません…」
「ん〜…考古学は軽くかじった程度だからなぁ〜…」
そう言ってアルベルは古代文字の解読を始める。
「…アルベルって…。…いや、二人ともどんな環境で育ったの?」
アルベルが古代文字の解読をしている間に、キースはニーナに問い掛けた。
「…?…お姉ちゃんは小さい頃から剣術や英才教育を受けてたかな?…私は…普通だよ?
何も出来ないから」
そう言って、ニーナはフィレナと話しをしていた。
「…キース様…体の方は大丈夫なのですか?」
ポールはキースの体を案じて問いかけていた。
「大丈夫。この程度じゃ倒れたりしないよ…」
キースは笑顔でポールに言い聞かせた。
「…よし!ざっとこんなもんかな?」
しばらくすると、アルベルは振り返った。解読した文を読み上げる。
「『力無き者、引き返すべし。力ある者、扉の前に立ち、試練を受けよ。試練を受けぬ者、真実を知る予知無し。力無き者もまたしかり』…だって…。…どうする?先進む?危険みたいだけど…」
アルベルはみんなに意見を求めた。みんなはキースを見ていた。
「(俺次第…か…)…行くよ。行かなきゃなんのためにここまで来たのかわかんねえだろ?」
「でも…大丈夫なの?またこの前みたいに倒れたりしない?」