時空の騎士
□(悪魔編)第六章 果てしない旅路(想像と意志の力)
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第6章 果てしない旅路〜想像と意志の力
朝。キース達は旅仕度をしていた。
「…準備はこれでよし…」
そう言って立ち上がると、部屋の戸を叩く音が聞こえた。
「キース?準備できた?」
「…あぁ。今から行くよ」
ニーナの声に促され、キースは皆の所に向かった。
ロビーには既に皆が集まっていて、何時でも出発可能だった。
「…じゃあ、行くか…」
一行は宿を出て、街を歩いていた。目的地はここより北。敵の被害が集中している所。
「…北って言うと…近い街まで行くのに早くても三日かかるわ…。野宿の事も考えないとね?」
「…食料は多めに持っとかないとな?」
一行は街を出る前に買い出しに出かけた。
「…お金…あるの?」
ニーナの一言で全員足を止めた。笑顔で振り返ったのはアルベルだけだった。
「…自らを"トレジャーハンター"と言った私が、あの遺跡でお金になる物を入手していないとでも思った?」
アルベルはどこからか宝石類の物を取り出して皆に見せる。
「…いつの間にそんな物を…」
「あの遺跡で拾ったのは原石よ?…そのままでも価値はあるけど…加工した方がいいでしょ?」
アルベルは胸を張って言っていた。彼女は宝石をどこかの店に持って行き、それを売ってお金にした。
収入額は贅沢しても、何不自由なく旅は続けられる額だった。その後は商店街で食料を購入して、一行は北に向かって出発した。
歩き続けること10時間。日はすっかりと傾いて、キース達は一日目の野宿をすることにした。
「…じゃあ、薪を拾ってくるよ…」
キースは適当に歩き回ろうとしていた。
「…キース様…私も行きます…」
ダルシーはキースの体を気遣ってか、キースの後を付いて来た。
「…こんなもんでいいよな?」
キースとダルシーは適当な薪を集めて、皆の所に戻ろうとしていた。
「あっ…いたいた…」
林の奥から人の声が聞こえ、二人は立ち止まって振り返る。そこには人の姿は見当たらなかったが…。
「こんばんは☆」
見当違いな所から、その人は二人に声をかける。二人は相当なまでに驚いて振り返った。
そこにいたのはレインだった。
「…そんなに驚かなくてもいいんじゃないかな?」
「じゃあ、突然背後から現れるなよ!薪を全部落としたじゃねぇかよ!」
そう言ってキースとダルシーは薪を拾う。
「…僕と薪と…何の関係があったの?」
「うるせぇ!…拾うの手伝えよ!」
キースの言葉にレインは仕方なさげ薪を拾う。
「で?…何の用だ?」
薪を全て拾った所でキースはレインに問い掛ける。
「…君達が追っている敵の情報…僕が知っている範囲で教えてあげようかと思って…」
この一言でキースとダルシーは言葉を失い、硬直していた。
「…キース様…その話は皆がいるところの方がよろしいかと…」
「…そ、そうだな…」
キース達はレインを引き連れ、急ぎ皆の所に戻った。
「君達の追っている敵は…」
とレインは話始めた。皆はそれを黙って聞いているだけだった。
「…その正体を謎にしているみたいだね?…だけど僕は…四年前にその正体を知った。奴らは"悪魔"と呼ばれる者を崇拝している。悪魔はある周期でこの世界を破壊する。それを阻止するためには、時空の騎士が連中を…悪魔を抹殺する以外方法がない…。…悪魔は人として生まれ、人として育つそうだよ?もう一度、捜し直す必要がありそうだね?既に出会った人間が悪魔か…今はまだ出会わぬ人間が悪魔か…ってね?」