短編集
□予言から……後2年…
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国滅亡予言から8年。何事もなく、平和な時が流れていく。
後2年。
それまで何もなければ……。そう考えながらも、迫る期日に備え、城内は緊迫していた。
そんな時だ。一人の少年に出合ったのは……。
「…あんたが、この国の宰相、ルドルフか?」
「………」
町中で、一人の少年に声をかけられる。ルドルフは軽く振り返りながら、何の用事なのか問いかけていた。少年は不適に微笑みだした。
「あんた…今の地位で満足しているのか?どうせなら、王の補佐ではなく、王になってみたいと思わないか?」
「……何を下らんことを言っている?」
少年は微笑みながら問いかけてくる。ルドルフは眉間に皺を寄せ、少年を睨み付けていた。もしかしたら何らかの予兆か?そう考えながら、ルドルフは少年に警戒をしていた。
「貴様は何を企んでいる?答えによっては……」
「止めとけよ。子供だからって侮るなよ?小父さん?」
仕込み杖に手を添えながら言うと、少年はいつの間にか自分の背後に立っていた。少年はルドルフから仕込み杖を取り上げている。
自分はこの少年に勝てない。
そう悟ってしまった。
「………何が目的だ?」
「分かっているんだろ?国取り。」
「………」
ルドルフの問いかけに少年は薄っすら微笑を浮かべる。やはりか。そう考えると、ルドルフは眉間に皺を寄せていた。
「…あんたには、この俺様が城内に入りやすいように手引きして欲しいんだ。」
「…誰が謀反に協力など……それに、陛下は誰にも殺せまい。」
「協力しないなら、禁術を世にばら撒く。チャールズ王を殺す方法なら、あるだろ?一つだけ……。18年前。自分でそれを立証したはずだ。」
「………」
少年は不適に微笑みながら訴える。禁術を解放されるわけにはいかない。そう考え、ルドルフは眉間に皺を寄せていた。