捧げ物
□最後の願い
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「……こんなところですね。」
「…お疲れ様でした。レイチェル様。」
任地に赴きすべての感染者を倒した後、レイチェルは軽く周囲を見渡す。
近くで見ていたユリエはレイチェルに笑顔を向けてくれる。
ガサッガサッ……。
「「!?」」
不意に後方の茂みが揺れた。レイチェルはすぐに身構え、警戒する。茂みの中から出て来たヴィンを見て、レイチェルはすぐに警戒を解く。
「こっちも終わっていたか。」
「はい。レアードは……」
ヴィンが声をかけると、レイチェルは薄らと微笑み、軽く周囲を見渡す。
少しすると、後方の木の上から誰かが飛び降り、レイチェルは再度身を翻す。
「……2人とも……私を驚かせて何がしたいのですか?」
「「……?」」
眉間に皺を寄せながら訴えると、ヴィンもレアードも首を傾げた。レイチェルは軽い溜息を吐き、帰ることを訴える。
彼女達は意識を集中させ、グランディアへの扉を開く。
‡‡‡
「「………」」
ここはどこなのだろうか?
そんなことをぼんやりと考えながら軽く周囲を見渡してみる。いつの間にか深い森の中で道に迷っていた。
蜂鳥、蜘蛛、揚羽の3人はなぜこうなったのかを考えてみるが、原因は不明。
そもそも、依頼でちょっと出かけただけだった。行先もすぐ近くだったし、道に迷う要素はない。
「…どこで道に迷ったんだろうなぁ……」
ため息交じりに蜂鳥が呟く。息子達は苦笑を浮かべるだけだった。
とりあえずもう少し森の中を歩いていくと、どこからか男の叫び声が響く。3人は声のする方へと駈け出した。