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□第三章 戦
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第3章 戦
└section1 消えた王族
戦闘が再開されてから今まで、セントリア軍は苦しい戦局を余儀なくされていた。ミッシェルが来てからは多少楽にはなったが、現状維持。ラッセルも将軍である勤めを果たすため、兵の士気が下がらないように頑張っていた。それでも、単なる時間稼ぎにしかならない。リヒャルドが戻ってくれば…。そう思いながら戦っていた。
「…今ルミナから連絡がありましたわ。リヒャルドを救出できたみたいですわよ。」
不意にミッシェルはラッセルに声を掛ける。ラッセルは頷き、兵士に指示を出した。リヒャルドが救出されるだけでも、こちらにとっては強味になる。
ラッセルが声を掛けると、兵士達の士気は上がっていた。とりあえずの危機回避。もう少しの時間が稼げそうだ。
「…後はリヒャルドが戻って来て、援軍が来てくれれば…」
「この場を持ち直せますわね?」
ラッセルとミッシェルはリヒャルドが帰って来ることを信じて戦っていた。
‡‡‡
「…言われた通り、リヒャルドが脱出したことは前線に伝えたよ?…どうしてまだ戻れないの?」
「…もう一つだけ…どうしても調べなくてはならないのですよ。」
ルミナとミッシェルのテレパシーで、前線に自分の事を報告。その後は王都から少し離れて、カムロを待っていた。彼の報告によっては、もう一度城に行かなければならないのだから…。
「…どうしても知らなきゃいけないこと?」
「ハイ。…知っていれば後々楽なので…」
「………………………」
リヒャルドの言葉を聞き、ルミナは不服そうにしていた。彼女は退屈そうにリヒャルドが動くのを待つ。
「リヒャルド様!!」
「…戻りましたか。どうでした?あれは顕在でしたか?」
戻ってきたカムロに報告を求める。カムロは満面の笑みで頷いた。
「あの存在を相手は気付いていないみたいですよ?」
「…そうですか。となればあれが…使える…」
独り言として呟き、リヒャルドは行動を興す。突然の事にルミナは驚き、慌てて付いてきた。
「…どこ行くの?」
「前線ですよ?ラッセルが待ってますから…」
ルミナの問い掛けに、さも当然の如く答える。「調べ事は?」と問い掛けられ、「終わりました。」と笑顔で答えた。
しばらく歩き、リヒャルドは足を止める。
「…今度は何?」
「…ここから前線までは…どう頑張っても半日以上かかりますね…。それまでラッセルが持つとも限らない…」
立ち止まって考えていると、ルミナに急かされる。リヒャルドはあることを閃いた。
「ルミナ…その体でも魔法は使えますか?」
「?…使えるけど?」
ルミナの言葉を聞き、リヒャルドは微笑む。