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□第五章 封印の儀
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第5章 封印の儀
└section1 対面





 目が覚めると、そこはセントリアだった。ラッセルはゆっくりと状態を起こす。すぐ横では、ルミナが泣きそうな顔していた。ラッセルはルミナに笑いかける。

「…心配かけたな…。あれから…どうなった?」

「うん。…ラッセル達が倒れた後、ユリウスが来て3人を担いで行ったの。姉様は昨日目が覚めたけど…リヒャルドはまだ意識が戻らないんだ…。熱は何とか下がったんだけどね…」

 ルミナは状況の説明をラッセルにする。「奴は?」と問い掛けたことに、彼女は言葉を濁した。

「…ラッセルにも…知らせる権利はありますわよ?」

 不意にミッシェルが部屋に入ってくる。「リヒャルドは?」と言うルミナの問いかけに、「今は大丈夫」と微笑む。

「…あいつは…魔導生命体製造機の中にいた奴は?」

「…出て来たよ。顔は見てねぇけどな…」

 ラッセルの問いかけに、ユリウスが答える。「やばそうな奴だった…」とだけ告げ、何も言わなくなった。少しの沈黙の後、ユリウスは国に帰る事を告げる。

「え?でも、リヒャルドがまだ…」

「陛下は連れて行けねぇだろ?だからオレだけ戻って、ルーシア様に報告してくるだけだよ…」

 ユリウスは「陛下を頼む」とだけ告げ、サウザニアヘ帰って行った。ラッセル達は彼を見送る。

「…お前は帰らなくて良いのか?」

「そうですわね…帰らなければならないでしょうけど…。城にわたくしが居ないのは日常茶飯事でしてよ…?もう暫くは大丈夫かと思いますわ。」

 ミッシェルは笑いながらリヒャルドの所に案内する。ラッセルは無言で彼女の後についていった。

「………………………」

 リヒャルドの部屋にはライムとマロンが彼の看病をしていた。熱が下がったと言っても、まだ安心できないのだろう。彼はまるで死んでいるみたいに眠り続けていた。

「…元々、体に負担がかかる実験だったんだ。」

 ラッセルが部屋に入ると、ライムは語り始めた。ラッセル達は黙って彼の話を聞く。

「…熱が出た時点で、既に限界を超えていた…。たった一度の実験で、本来ならかなりの体力を失い、10日は寝込むほどのものだった。それなのに、意識を保っていられるからと、平均10回の実験を繰り返していた。意識が失っても、次の日にはちゃんと目覚めていたから、誰も止めはしなかった…。お前らでさえ意識を失った儀式で…生きていたのが奇跡だよ…。例え…植物状態でもな…」

 ライムは罪悪感に浸っていた。「俺のせいだ」と自分を責める。ラッセルはライムの肩に手を添える。

「お前が気に病むことはないよ。リヒャルドは弱音を吐く事はしないんだ…。それが故に、限界を超えると稀にぶっ倒れる。最悪、一月は目を覚まさなかった。自分の限界を言葉に表さないこいつが悪い。自業自得だよ…」

 ラッセルはライムを元気付けるように言った。ライムは悲しげに微笑むだけで、自分を責めることは止めなかった。

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