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□第六章 精霊
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第6章 精霊
└section1 絶望
「…なるほど…セシルを使ったのはそう言った意味か…」
「どうするんだよ…リヒャルドは死ななかったけど、ファントムは力を増す一方だぜ?」
封印の儀式から数日。ラッセルとミッシェルは里を訪れ、報告する。族長は「もはやこれまで」と呟いた。
「…封印できぬのなら、万策尽きたも同然じゃて…」
族長はラッセル達から背を向け言い放つ。ラッセル達は言葉を失い、沈黙が訪れた。
「…諦められるかよ…」
長い沈黙の後、ラッセルは口を開いた。この場の全員がラッセルを見る。ラッセルは面を伏せ、静かに呟いた。
「…たった一度の失敗で…諦められる訳がねぇだろ!…たったそれだけのことで、連中を野放しにしていいわけがねぇだろ!!」
ラッセルは面を上げ、族長に向かって叫ぶ。ミッシェルはラッセルが暴れ出す前に、魔法で取り押さえた。
「…若造…勇ましいだけは認めようぞ…。じゃが、引き際を見誤るな。ワシらに出来ぬこと、そなたらに出来るわけがあるまい…。」
族長は再びラッセル達から背を向け歩き出す。ラッセルは立ち去る族長を呼び止めた。族長は止まる事なくラッセル達の前から姿を消した。
「やってみなきゃわかんねぇだろ!やる前から諦めんな!引き際を見誤るなだと?んなもんこっちが決めるんだよ!テメェらで決めてんじゃねぇぞ!」
ラッセルは族長がいなくなっても叫び続けた。一通り叫び終えると、ミッシェルに殴られ、そのまま引きずられた。
山を下り、麓の湖にラッセルは突き落とされる。あまりの唐突さに、ラッセルは溺れかけた。
「何すんだよ!」
「フン…少しは頭冷やせまして?」
ミッシェルは腕を組み、ラッセルを見下ろす。ラッセルは訳がわからず、ただ水面で立ち泳ぎしていた。
「最初に言いましたわよね?非協力的な彼等に何を言っても無駄ですわ。感情的にならないでくださいなって…」
「………………………」
ミッシェルの説教を水中で黙って聞く。ミッシェルは一通り言い終わると、溜息を吐き、「上がってらっしゃい」と言った。ラッセルは首を傾げる。
「…あなたの行動は無謀すぎましてよ?でも、わたくしはその考え…嫌いじゃありませんわ。わたくし達が諦めなければ、必ず活路は見出だせるものでしてよ?」
ミッシェルはラッセルに笑いかける。ラッセルは暫く考え、陸に上がった。
「…先ずは、里の協力を得るために何をするか…」
「彼等のことを詳しい人物に当たるしかありませんわね…」