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□第八章 戦いの中で…
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第8章 戦いの中で…





 里に着いて幾日か過ぎる。この間に精霊の力を使いこなせるように、修業していた。その修業を終え、ラッセル達は族長に呼び出されていた。

「…これが、ワシから教える最後のことじゃ…。ファントムの前に3人が揃ったら、陣を組み、アミュレットを天高く掲げてみよ…。さすれば精霊が姿を現す…」

 族長はそれだけを述べ、何も言わなくなる。ラッセル達は族長の言葉を信じ、立ち上がった。

「…ファントムの本体を母上の肉体から引きずり出した時、再び精霊の力を使うのでしたね?」

「ファントム自体が霊体じゃ…精霊じゃないと対抗出来ん…」

 リヒャルドが最終確認に問い掛けたことに、族長は答えた。ラッセル達は互いで頷いて、サウザニアの宮殿を目差して歩く。

「…忘れ物とかはないな?」

「えぇ。バッチリですわ。」

 ラッセルの問い掛けに、ミッシェルは笑顔で答える。里の住人に見送られながら、ラッセル達は里を後にする。





「…本当に行っちゃいましたね?族長?」

 世界を救う勇者達を見送り、隣にいた老婆に問い掛ける。族長は素っ気ない態度を示し、祭壇に向かった。マロンは族長の後を付いて行った。

「族長…言わなくてよかったのですか?リヒャルド様に…本当のこと…」

「………………………」

 マロンは族長に付いて行きながら問い掛ける。族長は何も答えなかった。マロンは族長の前に出る。

「無事に帰ってきたら…話してあげましょ?セシルさんは…族長…あなたの娘なんだって…。力を与えたのも、あなたの意志なんだって…ね?」

 マロンは族長に笑いかけた。族長は無言で遠い空を眺めていた。マロンも彼女の視線の先を見る。

「…帰ってきますよ。あの人達は…平和を連れて…」

 マロンはそれだけを呟き、レオンの遊び相手になりに行った。明日もいつもと同じ風が吹く。彼女はそれだけを信じていた。

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