神の子
□第1章 私の使命
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第1章:私の使命
『神の子』と言う存在をご存知ですか?神の子とは100年に1度、帝国に産まれる子供のこと。神の子は同じ日に産まれ、片割れのペンダントを持っている。
ペンダントの一方は『光』。もう一方は『影』。2つで一つ。
彼らには、『帝国を見守り、導く。』と言う使命がある。
歯車が狂っていなければ、何もかもが順調に行くはずだった。…歯車が狂っていなければ…
私の名前はアリス・ジュレイス。そして、ここはジャハンナ帝国。私が産まれ、育ったはずの国。…そう、『はず』なのだ。
最近になって、私が誰なのか、何の為に剣を握るのか…それが分からなくなっていた。私は何をする為に生きるのか…この頃はそんなことばかり考えていて、気が付けば、かなりのスランプに陥っていた。
ある日、私は城の見晴台に上がり、この国を見渡していた。
ここの人達は何の為に生きているんだろう…何の為に働くのだろう…?
私はいつもここでそんなことばかり考えていた。
「アリス。」
しばらく城下町を見渡していたら、後ろから声が聞こえた。振り返ると、そこには私の上官、クリストファー・ケニー将軍がいた。
彼は、17歳で帝国のロスト・ジェネラル(将軍)になっていた。(現在彼は20歳。私は15歳だ。)
「また、同じ悩みか?」
将軍が私に問いた質問は、応えられなかった。しばらく沈黙が続く。
「…お前の人生これからだ。あまり悩むなよ?」
そう言い残し将軍はどこかに行ってしまった。私は将軍を見送って、また、城下町を見つめる。
1週間後、私は将軍のお供として、任務に出かけた。
「あの関所の先…ですよね?」
「あぁ。」
将軍は何かの報告書に目を通した。その何かを確認すると、彼は私の方を向き、小さな結晶を差し出した。
「…?何ですか?…使い魔?」
私の問いに将軍はゆっくりと頷いた。
「何処で知った?」
将軍はまっすぐこっちを向いて問い掛ける。
「…この間…自宅にある本に書いてありました。それで知ったのです。」
「流石、"本の虫"だな。
…これはお前が持っていろ。俺が持っていても意味がないからな…」
そう言って、将軍は結晶を私に手渡した。