神の子
□第4章 避けられぬ戦い
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第4章 避けられぬ戦い
あの後帝国軍はアルカパと協力して戦線を押し返し、これから西へ行くか東へ行くか悩んでいた。私は取り敢えず二国に偵察を送り、その帰りを待っていた。
「…退路は確保した方がいいかな?」
色々なことを考えていると、気が付いたら辺りは暗かった。
「…もう夜?最近時間の感覚がおかしいよ…。…ちょっと散歩でもしようかな?」
そう言って私は一人で外を歩いていた。
「…アリス様…」
星空を眺めながら歩いていると、前方にロビンが立っていた。
「ロビン…どうしたの?…こんな時間に…」
私の一言で彼女から笑顔が消えた。
「…アリス様…貴女はご自分がなさったことを棚に上げて…何を申されますか?」
「…えっと…?」
私は先の戦いであり得ない戦いをしたらしく、戦闘が終わった後、みんなに怒られた。ぶっちゃけた話、私にとっては普通の行動だった。
「…あの…えっと…ごめんなさい…」
私は取り敢えず謝罪の言葉を述べた。
「…何事もなかったのが幸いですが…。…二度とあんな無茶はなさらないで下さい。…我々にはもう、貴女しか居ないのです。」
ロビンは顔を伏せ、泣いているようにも見えた。
「ごめん。わかったからもう泣かないの…。そうだ…迷惑ついでに…これ…預かってくれる?」
私はロビンにペンダントを渡した。ロビンはものすごく拒んでいたが、私が無理矢理押し付けて渡した。
その後、私はロビンをあやして、その夜は床についた。
次の日、私は帰って来た偵察部隊が提出した報告書を眺めていた。今のところは敵両軍に目立った動きがないので、停戦状態だった。
「…我が軍が…ヴァルキサスの兵士を攻撃…。…何のことを…」
偵察部隊にはヴァルキサスが裏切った理由を調べてもらっていた。だが…その理由は見に覚えのないことだった。
何が…どうなって…と思ったのも束の間、両軍が一斉に我が方へ攻め込んで来た。
「…アリス様!」
報告に来た兵士の脇を通り、私は前戦に向かった。
前戦では、エドワードの部隊とレオナルドの部隊がいた。私はアルカパの軍勢と協力して両軍と戦った。
「…このまま押し返せ!!」
私は敵を薙ぎ払いながら、各部隊に指示を出した。
「捕まえた。」
不意に後ろから腕をとられた。後ろにはレオナルドが私の腕を掴んでいた。
「よし。作戦は取り敢えず成功か…。全軍退却!!」
エドワードがそう叫ぶとみんな退いていく。
「放せ!!放せぇー!!」
私は抵抗してはいたが、男女の力の差があって、私は簡単に連れていかれてしまった。
「…あれがないと意味がないだろ…」
暗い部屋の中。視界0の部屋…。そんな部屋の中で話す声…。あれって何?
暗闇の中、私は一人で考えていた。
「!!」
急に視界が開けた。私は思わず目を伏せたが、すぐに前を向いた。
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥」
目の前にはあの人を殺した憎き男がいた。
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
‥‥‥‥‥」
しばらく互いで睨み合っていた。すぐにでも奴を殴り飛ばしてやろうと思ったが、鎖などで縛られ身動きが取れず、睨むことしか出来なかった。
「…何処に隠した?」
唐突な質問に私は何のことか考えてしまった。
「…貴様にはわかるまい?」
質問の意味を考えてから応えた為、変な間が開いてしまった。
「…貴様は自分の立場がわかっているのか?」
そう言って、私に対する拷問が始まった。私は何をされても何も応えなかった。
私が何かを応えれば、それだけロビンを危険にさらしてしまうからだ。
意地になって黙秘を続けていると、いつの間にか眠っていたみたいで、また、視界0の暗闇の中にいた。
「‥‥‥‥‥?」
今が夢なのか、それとも