Legend2
□第8話 防衛戦
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祠の出口を目指して走り続ける。ただただ、みんなの無事を祈りながら、私は走っていた。
しばらく走り、みんなの姿が見えてくると、私はより一層スピードを上げていた。走っていくと、皆が傷だらけである事がわかり、私は祠の出口付近で足を止めた。右手で魔法陣を書きながら、魔法の詠唱を始める。
「……陰陽の気を持って活力を与えん…安らぎの唄(ヒールオール)…」
私の唱えた魔法は、皆を優しい光で包み込んだ。皆を包んだ光は、皆の傷を癒していく。私は改めて皆の名を叫び、祠の中から出て行った。
「皆さん!大丈夫ですか?」
「あぁ。さっきので助かった。ありがとう。」
私の問いかけに、スフィアが答える。それを聞いて、安堵の溜め息を吐くのも束の間。ラッセルが敵精鋭の中に飛び込んで行くのが見えた。
「ラッセル!!…ったく…あのバカ…。ユリウス!ヘインとスフィアの事は頼みますよ!」
「わかった…」
私はユリウスにそれだけの指示を出し、ラッセルの後を追った。私も人の事言える立場ではないと自覚しているが、やはり魔物の中たった一人で飛び込んでいくのは、勇気を通り越して無謀だろう。そんな事を考えていた。
「…二度と…あなたの無茶に付き合う事は無いと思っていましたのに…」
「うるせぇな…。お前が人の事言えるのか?」
敵のど真ん中、私とラッセルは互いで背中を合わせて立ち、それだけを毒づく。
「ラッセル…あえて言うまでも無いと思いますが、この数が相手です。時間を掛けてしまえばこちらの体力が持ちません。急所を突いて一気に片付けましょう。」
「あぁ。」
それだけを言って私達は一歩を踏み出す。急所を突いて一気に魔物を片付けていた。私とラッセルの息はピッタリだった。それ故に互いの背中を互いで任せられる。殆どの魔物を、私とラッセルで倒してしまった。
「…また群れてくる前に、森を出ましょう。」
魔物を片付けると、私は安全を確認し、武器を仕舞いながら皆に声をかける。私達が歩き出す中、ヘインだけがその場で立ち止まり、動かなかった。