Legend

□第三章 戦
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「では、私がこれから言うことを覚えてください。」

「?」

 リヒャルドはルミナに“空間移動(テレポート)”の魔法を教える。生前は宮廷魔術師なだけあって、彼女はすぐに覚えることが出来た。

「…どうして…この魔法を…?」

 空間移動の魔法を教えると、ルミナは不思議そうに問い掛ける。その問いに、リヒャルドは笑ってごまかした。

「早く行かないと、セントリア軍が全滅してしまいますよ?」

 そう言って、リヒャルドはルミナを急かす。ルミナは覚えたての魔法を唱え、一気に前線を目指す。





 リヒャルドを救出したと言う報告を受けてから数時間。彼らが姿を現す事なく、再び窮地に陥る。

「…もう少しで援軍が来てくれる!それまで耐えるんだ!」

 同じ台詞を何度か繰り返し、兵士の士気を何とかもたせる。正直、これはもう限界だった。
 次の手を考える中、敵精鋭の後ろに、一つの影が見えた。影はサウザニア軍に向かって何かを叫んでいる。聞き取れていないと判断すると、更に大きな声で叫んだ。

「…私の命令を無視するつもりか!この場を撤退しろ!!」

 サウザニアの兵士達は顔を見合わせ、首を傾げる。中でも年配の兵士達は、周囲に呼び掛け、ゆっくりと後退しはじめた。
 サウザニアの動きを見て、それの同盟軍も引き上げる。訳がわからないまま戦闘が終わり、セントリア軍はどうしたら良いのかわからない状況に陥った。
 叫んでいた影はゆっくりとこっちに近づいてくる。ラッセル達は警戒心を強めた。

「クスクス…味方精鋭に手は出しませんよ?」

 影は笑いながら近づいてきた。正体がはっきりとわかった時、ラッセル達は警戒心を解く。

「…何が起こったんだ?」

「さぁ?…それよりも、一度城に戻りませんか?話したい事があるので…」

 リヒャルドは笑いながら意見を求める。ラッセルも報告することがあったため、彼の意見に同意する。ルミナはある魔法を唱え、ラッセル達は光に包まれた。





「…いつの間にこんな魔法…」

 一瞬で王都に着き、ミッシェルは驚いていた。ルミナは自慢げにリヒャルドから教わったことを告げる。ミッシェルは少し不機嫌になった。

「…リヒャルド様…ご無事でしたか…」

 城門に立つと、門番はリヒャルドの帰りを喜んだ。それから、リヒャルドを尋ねた人の事を話す。

「女性?」

「ハイ。顔を隠していましたが…あなたにお伝えしたい事があるとか…」

「…わかりました。ラッセル達は先に行っててください。」

 リヒャルドは女性の居場所を聞いて町に行った。ラッセル達は言われた通に先に行く。

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