神の子

□第2章 二人目
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 私は周囲を見渡しながら話した。

「…あっそ…不満かぁ…不満があるなら出て行ってもいいよ。私のやり方に従えないってことは…指揮官の命令に従えないこと…。違う?」

 私の言葉にみんなは驚いていた。確かに、私のやり方はめちゃくちゃかも知れないが、それに付いてこれなければ、この部隊は機能しない。
 ただでさえ、女性部隊である以上、男が混じった部隊には圧倒的な力の差が出来る。それを埋める為にそれ相応の無茶も必要だろう。
 この試験はそう言ったことをふまえての事前対処に過ぎない。
 私が言った通り、その場から一人づつ居なくなり、気付けば定員をみたらなくなっていた。

「…残ったのは478…もう抜ける人はいない?…OK。今の段階で残った人は合格と認めましょう…」

 この場に残った受験生は皆合格。そういった報告書を作り、私は会場を後にした。





 その後、私は定員を割ってしまったことを他の将軍達に怒られた。私は言い訳的なことを言ったが、聞いてくれたのはクリストファー様だけだった。

「…こうなってしまったのだから仕方ないじゃないですか…」

 私は小言を言うみたいに呟いた。





 その日の深夜…私は私の書斎で今日の事後処理をしていた。

「‥‥‥‥‥‥?」

 ふと、窓の外を見てみると、昼間の試験に合格したロビンが、外を歩いていた。彼女は暗い顔しながら歩いているように見えた。

「…彼女は…どこに…って、そっちは…」

 私は慌てて書斎を飛び出した。ロビンの後を追い、私は城の外に出た。
 ロビンが向かったところは夜になると野党どもの活動が活発化するような場所。
 私も、士官当初は上司の命令に逆らって夜の街を出歩いた。そして、野党に襲われて、クリストファー様に助けられた。
 その後は上司の命に従うことになった。





 ロビンの後を追って行くと、案の定、彼女は野党どもに襲われていた。しかも今にも殺されそう…。

「…大の男が若い女の子を袋叩きにするなんて…。最悪な行為ね…」

 私の声にその場に居た全員が驚いていた。私の笑い声がここ周辺に響き渡る。

「…だ、誰だ!」

 野党の一人が叫んだ。

「わからない?すぐ近くに居るのにな…」

 私は慌てふためく野党を嘲笑った。野党は青い顔して私を捜している。

「…し、将…軍?」

 かろうじて意識を失わないでいたロビンは私の姿を見つけて囁いた。

「…私の部下にずいぶんなことをしてくれたじゃない…。許さないわよ?オジサン達…」

 夜の闇の中から出てきた私を見て、野党は安堵のため息をついた。

「…女だからって、なめんじゃないわよ…私…結構強いから…」

 そう言うと、野党は私に攻撃してきた。私はその攻撃を軽々しくかわして、野党を半殺しにした。

「…大丈夫?…な訳無いよね…」

 私は今にも意識を失いそうなロビンを担いで帝都に引き返した。最初、ロビンは色々と抵抗していたが、そのうち、大人しくなって、静かになった。





「…じゃあ、明日の朝迎えに来ます。ロビン…事情は明日、城に戻ってからゆっくりと聞くからね…」
 帝都に戻ったら直ぐにロビンを病院に運び、私は城に戻った。城ではクリストファー様が私を捜していた。

「…アリス…どこに行っていた?夜、女の一人歩きは駄目だと何度も…」

「ハイ。聞きました。何度も…。…しかし、緊急を要することでしたので…」

「…緊急?」

 私は彼に先の出来事を説明した。

「…それで…先程怪我した彼女を病院に運び、戻って来た…と言う訳です。」

「…なるほど…事情はわかった。今回は多目に見よう。…だが、次はないぞと…あの女にも伝えて置け…」

「…ハイ…」

 そう言い残し、彼は居なくなった。私も、彼を見送った後、私室に戻って今日は休んだ。
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