神の子
□第2章 二人目
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次の日、私は約束通病院にロビンを迎えに行き、執務室で彼女の話を聞いていた。
「‥‥‥‥‥‥‥」
「‥‥‥‥‥‥‥」
しかし、彼女は黙ったままで何も言わず、事情を聞くにも聞けない状況だった。
「…黙秘権も良いけど…何か話してくれないと、庇うことも出来ないんだよ…」
「‥‥‥‥‥‥」
何を聞いても何も答えない。言語障害に陥ってしまったのでは…と思うくらいだった。
「…話題を変えようか…
…ロビンは戦術をどこで学んだ?」
この質問でやっとロビンは「えっ?」と言って反応した。
「…うーん…普通は士官学校なんだけど…。この部隊士官学校行っていない人、多いでしょ?」
「…父が…軍人でしたので…」
ロビンは少し俯き加減で話始めた。
「…戦術知識を軽く父に学ぶと…その分野に興味がわき、父の書斎を荒らして、色々な本を読んだのです。剣術は…近所に住んでいた叔父様が…」
昔話をするロビンはつらそうにも見えた反面、幸せそうにも見えた。
「…それで…野党に家族を殺された?」
なんとなく、推測で聞いてみると、図星のようだった。
「…だからあんな闘い方したんだね…」
私が見抜いた彼女の欠点…それは、力の強さだけを追って、他の動きが疎かになっていたこと…
知識が十分あっても、そんな戦闘を続けると身を滅ぼす結果になりそうだ。
「ロビンは他に色々な素質があるから…焦らなくても大丈夫だよ。敵討ちなんてしちゃダメだからね?」
私はロビンの肩を軽く叩き、部屋の出入口に向かった。
「…あっそうそう…」
部屋を出る直前、私は足を止めて振り返る。
「クリストファー将軍が…次はないぞって…。あの人怒ると恐いから…気を付けてね…」
そう言って私は部屋を出た。
部屋を出た後、私はまっすぐ訓練場に向かった。昨日の試験に合格した者は皆、すでに集まっていた。
「…アリス様…ロビンは…」
ユニはまだ来ていない(当たり前だが)ロビンを心配していた。
「あ、あの人は…普段遅刻するような人ではないんです。」
「大丈夫。いない理由はわかっているから。」
ちょっと取り乱すユニをなだめて、今日の訓練の説明をする。
「…ちょっとキツいかもしれないが…女だからって優しくしないから♪」
笑顔でそう言うと、みんなの顔つきが変わった。
「…大丈夫です。男どもにバカにされる方が屈辱的です。」
不意に、背後から声が聞こえて、私はかなり驚いていた。
「…私…将軍についていけるように頑張ってみます。」
ロビンは軽く笑いながら言っていた。その後、ロビンを含めた全員で、今日のノルマを達成させた。
ロビンも、試験の時のような無駄な動きは多少目立たなくなっていた。