神の子
□第3章 陰のペンダント
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「…信じられないかもしれませんが、こんな状況になっています。」
私が呟いた言葉に領主はトーンを低くして言った。
「…通行の許可は出します。しかし、橋が壊されていて、今は修了中です。数日の間、ここでゆっくりしていて下さい。」
「…わかりました。」
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥」
頭がボゥーっとして…声が遠くなる…。目の前が…暗い…今…昼だよ…ね…。
そんなことを考えている内に、私は倒れてしまった。
―…て…止めて…もう…壊さないで…殺さないで…―
「‥‥‥イヤァァ!!」
私は悲鳴を上げて飛び起きた。目が覚めた所は小さな個室だった。
今の…夢?あの子…私知ってる…。
誰だったっけ?…イヤ!思い出したくない!…あの子は…確か…。
「気が付いたのか…」
不意に、誰かの声が聞こえ、今の思考を無理矢理中断させた。
「…あっ…」
振り返ると、クリストファー様が無表情で立っている(若干、怒っているようにも見えた)。
「…ご心配をお掛けしました。…もう、大丈夫です。」
私は笑顔でそう応えた。
「…アリス…」
「ジュレイス将軍!!」
クリストファー様が何か言おうとしたのと被せるように、ロビンがこの部屋に駆け込んで来た。
「‥‥‥‥」
「…大丈夫ですか?本当にもう大丈夫なのですか?」
ロビンは涙目になりながら言っていた。
「本当にもう大丈夫だから…ごめんね。心配かけて…」
私はロビンに笑いながら言った。その言葉を聞いて、ロビンは安心したみたいだった。
「…クリストファー様は?」
「?…先程までは…そこに…どちらへ行かれたのでしょう?」
「‥‥‥‥‥‥‥」
クルミの時と同じだ…そう思って私は彼を捜しに行った。
クリストファー様は領主と何かを話していた。話の内容は雰囲気でなんとなくわかった。
「…橋の修理が終わったのですか?」
私は唐突に二人に話しかけていた。別に驚かせるつもりはなかったが、二人はものすごく驚いていた。
「…動けるのか?」
「ハイ。」
「…そうか。」
それから、私達はサラケスに出来た国々の調査をしに向かった。
3時間後…私達は森の中で迷っていた。右も左もわからない未知なる土地で…。
そんな時…
「…待ってよぅ。…お兄ちゃん〜」
森の奥から声が聞こえた。その声はこっちに近づいて来る。
「…人…ですよね?」
「おそらくな…」
私達は周囲を警戒しながら声の主達が姿を見せるのを待った。
「…早くしろ!日が暮れるぞ!」
最初に聞こえた声とは別の声。だいぶ近い所に来ているみたいだ。
まず姿を現したのは、長身の男。彼は後ろを歩くもう一人(?)に何かを叫ぼうとして、こっちに気付いた。
「…旅人?…こんな所に…珍し…」
彼は私達を物珍しそうに眺めていた。
「…どうしたの?」
続いて現れたのは小柄な少年。年的にはクルミと変わらなさそうだった。
「…えっと…」
私は私をなめるようにみる長身の男をどうしたらいいのかわからなくなり、咄嗟の行動でクリストファー様の後ろに隠れていた。
「…チッ…あんた達、こんなところで何してんの?」
長身の男は軽く舌打ちをして、私達に問いかけた。
道に迷いました。
なんて言えるはずもなく、私達は黙っていた。
「…まさか…道に迷いました…って感じ?」
あっさりと見抜かれ、私達はさらに言葉を失った。
「…図星?…そうだなぁ…野郎はともかく、レディを迷わせておくのは可哀想だし…首都でいいなら送って行くぜ♪」
男は私にウィンクしてきて、私は思わず「うっ」と言って完全にクリストファー様の後ろに隠れていた。どうやら私は長身の男に気に入られてしまったみたいだった。
そのまま彼らのご意向にあまえ、私達は首都に向かった。
「…さてと…何から聞こうかな?」
首都について直ぐ、長身の男は私達に色々な質問をしてきた。森で出会った二人は今いる国の軍人だった…。
彼らは私達のことを聞くだけ聞いて、自分たちのけては何も話さなかった。