神の子
□第5章 敵の狙い
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「…そう言う問題じゃない!俺達も…」
「ここで時間を食えば、首都に向かった者はどうなりますか?基地に残った者はどうなりますか?…そのことを考えてくださいね…」
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥」
スレイは私の言ったことに異義を唱え、反発していたが、私の最後の言葉で何も言わなくなった。
「…アリス…死なないでよ…」
ケティはそれだけ言い残し、スレイを引っ張って中に入った。
「…ずいぶんと多勢で攻め入りますね?」
私は出てきた指揮官に毒づいた。その人は軽く笑っていた。
「…これは何かの冗談のつもりか?敵の主力部隊を叩こうと言うのに、少人数とは…」
出てきた指揮官はあの日レオナルドを担いで去った人で、ディオス同様、私にかなりの怒りを表している。
「…そう言えば、まだ名乗ってないな…。…私はスレイヤーの一人、レオン・ファルシオン。」
名乗ると武器を構え戦闘体制に入る。レオンが戦闘体制に入ると周りの兵士が砦の中に入ろうと押し寄せてくる。
私はそれを一人一人凪ぎ払い、誰一人として中には入れさせないようにしていた。そんな中、レオンだけがその場に止まり、私の動きを観察していた。
「…500人凪ぎ払ってまだあんなに動けるとは…」
何分か経過してその言葉が聞こえ、何人を凪ぎ払ったのか判明した。正直、三桁入って少ししたら自分ではわからなくなっていた。
少しは休ませろと思いながら私はさらに多くの敵を凪ぎ払う。
「…サンダークラウド!!」
森の中から魔法が発せられ、ファーメリアの軍隊が拡散された。
「…誰だ!」
レオンは森の方を向き、問いかけた。だが、森の中からは誰も出てこなかった。
「…うそ…なんで…」
私は驚きを隠すことが出来なかった。先の魔法は本で見たことがある。そして、聞き覚えのある声がそれを唱えた。
術者は…。
「…お姉様!!」
森の中から姿を表したのは一人の少女。レオンはその姿を見て、驚いた。
「…クルミ!?どうしてここにくるの!!」
「今更帰れなんて言わないでくださいな?わたくしだって、お姉様の役に立つ為についてきたのですから…」
そう言って、クルミは魔法の詠唱を始める。
「…天の使子たる者に告ぐ、我が身に害をなす存在に天帝の裁きを与え、敵を討ち滅ぼさん…サンダークラウド」
クルミの攻撃は見事敵を飲み込み、一気に何十との敵を吹き飛ばした。
「…クルミ…こっちおいで…」
「ハイ」
私は入り口から離れる訳にはいかなかった。その為、クルミを守る為には彼女からこっちに来てもらうこと…。
クルミは敵の間を縫って走っていた。小さいうえに、すばしっこいから、捕まえることが出来ないみたいだった。
「…おのれ…女、何者だ…」
レオンは無惨にもあっけなく死んでいく自分の部下見て、クルミを標的にしていた。
「…クルミ・ジュレイス。帝国を支援する一般人ですよ?」
クルミはいつもの怯えた感じはなく、凄く堂々としていた。その威風堂々たる姿は、昔とは大違いだった。
クルミのことを聞いて、レオンは戸惑っていた。
完全に帝国側が形勢逆転したところで、レオンが動き出した。
「…まさかたった二人にここまで圧されるとは…我が部隊も落ちぶれたものだな…」
レオンはそう言って武器を構え直した。レオンの得物は大剣で、自分の身長ぐらいある剣を片手で振っていた。
「…もう、手加減はなしだ。本気でいかせてもらうぞ…」
レオンは私に攻撃してきて、私は二本の剣のうち一本で攻撃を止め、もう一本で反撃した。
「…あ…」
こんなときだが、私は自分の使っている武器を見て、返さなきゃ…と思った。
「よそ見をすると死ぬぞ…」
「‥‥‥っ‥‥‥‥」
レオンの攻撃はわずかに私の頬をかすめた。私は頬の血を脱ぐって、反撃する。