神の子
□第6章 終わりなき戦い
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私はいろんなことを考えながら戦った。
「…ディオス…」
レオンは悲しい表情でその場に立っているだけだった。
「…レオン…自分の道は自分で決めるんだ…」
ディオスはそれだけを言って後は何も言わなかった。
しばらく戦い、たったの三人だけでも十分に相手が務まり、むしろ、敵軍を撤退させた。
「…それが…お前が選んだ道なんだな…レオン…」
レオンはファーメリアに残りそのまま帰ってしまった。
「…ディオス…」
「…母さん達は?」
「まだ夜中だ…寝ているだろ?」
そう言って私達は砦の中に戻った。
翌朝。エミリの叫び声で私は目を覚ました。うるさいなぁ…と思いながら皆の所に行くと、ロビンに腕を引っ張られ、ディオスの前に座らされた。
「どう言うことか…説明を願います。」
ロビンは腕を組んで問いてきた。
「…話せば長いんだけど…」
私は昨夜の出来事を全て皆に話した。
「…つまり…エリアーノさんがここにいるから…この人がここにいると言うことですか?」
「…早い話がそうなんだ」
一通りの説明が終わると、私はクリストファー様がいないことに気が付いた。
「…ロビン…クリストファー様は?」
「…ケニー将軍ですか?…まだ姿を見ていませんよ?」
「…寝てるのかな?」
私はクリストファー様の部屋に向かった。
「…失礼します。」
クリストファー様の部屋はものけのからだった。
「…クリストファー様?」
私は部屋の中に入って、彼を探した。
「‥‥‥‥‥‥‥?」
ふと、机の上を見ると、置き手紙が置いてあった。私はそれを取り、中を読む。
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥」
手紙には『ごめん』と言う一言しかなくて、行き先等は一切書き記されてはいなかった。
「…クリストファー様…」
私は嫌な予感がして彼を捜しに行こうとした。
「…アリス様!!」
突然兵士の一人が部屋の中に駆け込んで来た。
「…何事だ?」
私はその兵士に問いかけた。兵士は青い顔をして報告する。
「…外に…ファーメリアのスレイヤーが…」
「?‥‥‥‥‥‥‥‥」
兵士の報告は訳が分からなかった。取り敢えず、私は外に行ってみる。
外に出ると、既にディオスがそこにいた。膝をついて、何かを見ている。
「…ディオス?どうかしたの?」
私はディオスに問いかけた。振り返った彼の目には涙がたまっている。
私は首を傾げながら、ディオスの隣に行く。
「‥‥‥‥レオン?」
ディオスの前に倒れている存在を見て、私は驚いた。
「…何?何があったの?」
「俺が知るか…俺が聞きたいくらいだ…」
私の言葉にディオスは応える。
「…取り敢えず…まだ生きてるから…。…ユニ!」
私は傷だらけのレオンを担いで中に入った。中でヒーラーのユニにレオンを託し、治療してもらっていた。
「アリス…」
後から中に入ったディオスに呼び掛けられ、私は振り返った。
「…これを…レオンが落とした…」
そう言って彼が差し出した物は影のペンダント。クリストファー様のペンダントだった。
「…どうしてこれを…」
私はディオスからペンダントを受け取り、砦を飛び出した。
砦を出て、ファーメリア方面に走っていると、焦げたような匂いがしてきた。匂いがして少しすると、焼け焦げた後が転々としている。
私は足を止め、ゆっくりと周囲を見渡した。
「…奴が…ここで暴れたの?」
私はそう言いながらゆっくりと歩き出す。しばらく歩くと、視線の先に何かが倒れていた。
「…あれは…」
そう言うのと同時に走り出す。私は人影の傍らに膝をついて、その存在を確認した。
「…クリストファー様…」
倒れていたのはクリストファー様で、彼の心臓は動いていなかった。
「…そんな…嘘でしょ…どうして…」
私は彼の傍らで泣いていた。
しばらくして、私は彼の遺体を担ぎ上げ砦に戻った。
「…アリス様!?」
砦に戻ると、ロビンが駆け寄ってきた。
「…どちらに…って…ケニー将軍?」
ロビンは私が担いでいる存在を見て驚いた。
「…この人の遺体は…帝国に連れ帰って埋葬する…」
そう言って私は彼の遺体を死体置き場に保管しておいた。