LOVERS

□金の糸
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 それはある晴れた日の出来事。昼前に指名手配の男を駅で見かけたと連絡が入った。急いで駅へと駆けつけてみると、よく似た全くの別人だったという事がわかった。司令部に戻ると、ハボックは出動が無駄だった事をぼやいた。それをリザが宥めていると、いつまでも五月蝿いとハボックのくわえていた煙草をロイが燃やした。その様子をフュリーは驚き、ブレだとファルマンは笑いながら見ていた。
 そんな穏やかな空気は仕事が再開しても続いていた。その時部屋に残っていたのは、ハボック、ブレダ、フュリー、そしてファルマンの4人。ロイは会議、リザは資料室に行っていた。

「皆さんは苦手な物って有りますか?」

 フュリーが唐突に言った。

「苦手なもの?そうだな…デスクワーク」

「私は特に有りません」

「俺は"イ"で始まって、"ヌ"で終わる四足歩行の生き物」

 ハボック、ファルマン、ブレダがそれぞれ答えた。

「お前なぁ、素直に"犬"と言え、"犬"と」

「うるさい!その単語を口にするのもイヤなんだよ!」

 ブレダの耳元でハボックが「犬・犬・犬…」と連呼していると、リザが資料室から戻って来た。


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