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□相合傘
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6月、梅雨。
あたしの大嫌いな季節だ。
今日も昼ごろから降り出した雨が未だに止まず、湿気も半端ない。
雨は嫌いだ。
足場も最悪だし、朝時間をかけてセットした髪も、湿気で広がり意味を為さなくなる。
さらに天気が悪いと頭も痛くなり、雨の日は良いことなど何もない。
降り出す前から頭は痛み出し、予感はあった。
まさかこんなすぐに大雨になるとは思わなかっただけで。

「…鬱陶しい…」

ただ、学校に置き傘があったおかげで、濡れずに帰れる所が唯一の救い。
ロッカーに放置されていた傘を取り出し、一人で薄暗い廊下を歩く。
玄関にたどり着くとローファーに履き替えて外へ出た。

「えーもん持っとるのぅ」

振り返ると、薄暗い中でも綺麗に栄える銀髪。

「………仁王じゃん」
「プリッ」

2年連続クラスメイトで4回連続隣の席、という腐れ縁。
で、あたしのすきなひとだ。
見ると、仁王は鞄以外に荷物を持ってはいない。

「……傘ないの?」
「昼から急に来たからのぉ、持っとる方が少ないんじゃなか?」

と言いつつ、あたしに近づいてくる。
仁王は何食わぬ顔顔であたしから傘を奪い、差す。

「ちょ、何してんの」
「一緒に帰らん?」

にこ、よりも、にやりという効果音が合うその笑顔にときめいたのは秘密。







(君に一歩近づけた気がした)
(雨も悪くないかも、)
(なんて単純。)






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