ネウロ

□貴方のトナリ
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「匪口さん、遅い……」
待ち合わせの時間から、どう見ても30分は過ぎている。
今日は二人でデート、だよね?これってそうだよね?
うん、デートをしようって、約束した。ハズ。
なんでこんな遅いんだろう。

不安になってきた、その時に。
「桂木!」
やっと匪口さんの声がした。
「匪ぐ、ち……さん?」
振り向いて目に入ったのは、知らない女の人。何で、匪口さんのトナリ?
トナリ、に――――いるの?
「悪いっ!遅れた」
「あ、いや。そんなに待ってない、ですから」
――それよりも。
「え、っと」
おそるおそる匪口さんのトナリの女の人のほうを向く。綺麗な人。大人っぽくて、でも可愛い。
「ん?」
匪口さんがその視線に気づいて、私と同じようにその女の人のほうを向いた。
「あぁ、この人、仕事関係で知り合った人。そこで会ってさ。ちょっと話してたら遅くなったんだ。ごめん、桂木」
すまなそうに、匪口さんは眉をよせた。女の人は、にこっと笑って。
「あなた弥子ちゃん?可愛いわね、匪口くんの彼女?」
「あッいや、あの、私……」
あわてふためいて、言葉を探す。え、何ていえば良いんだろう。
貴方の方が何億倍可愛いですよ!!とか。いやいや。と、いうか私は本当に匪口さんとは、付き合って、るのか、な?
やばいよ、混乱しかけてきた。ああ、なんか涙も出てきそう。

「そう、俺の彼女。可愛いでしょ?」
混乱しかけた頭に、その言葉が響く。
屈託も無く、匪口さんが笑って。私のトナリ。ぽん、と肩に手を置いた。

あぁ貴方が、愛しい、どうしようもなく。
その言葉が、笑顔が、不安な私を溶かしていく。


「そうね、とっても可愛い。お似合いよ」
女の人はふふ、と笑って。
「じゃあ、お邪魔なようだから」
と手を振って去っていった。

「桂木」
「えっ、はいっ!」
いきなり呼ばれて少し反応しきれずに、あわてた返事を返す。
「デート、しよっか?」
愛しい笑顔が私を見つめてる。
「……はい!」



貴方のトナリ、私が居てもいいですか。
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