ネウロ

□携帯電話依存症
1ページ/2ページ



気になる。



気になる。
携帯電話、が。



どうにも携帯が気になって、俺は仕事中だけど、こっそり携帯をのぞく。
着信は、無い。
ふう、と息を吐いて、がっかりしたような、安心したような気持ちでまた仕事を始める。


数ヶ月前まで、携帯なんか家に忘れてきたって全然平気なくらいだった。
俺が今、こんなに気になってるのは、きっとあいつのせい。

桂木。
桂木のせい。


「!」
――着信。

今携帯開く速度、絶対光より速かった。
画面を見て、舌打ちする。
「っんだよッ!」
よく行く店からのメール。こんなもん、別にきてほしかないっつーの!!
ブツブツ心の中で文句を言いながら、携帯を閉じようとしたとき。

メール。
――着信。

「あーもー!今度はな……桂木ッ!」
多分俺の目は今日一番輝いてる。
内容は
――お仕事頑張ってますか?匪口さん。今日、友達がおいしいお店を見つけた、とか言ってたんですけど、そこに今度食べに行きませんか?――
たかがそれだけのもので、だけど俺にはたかが、じゃなくて。


にやにやしっぱなしな俺に、笛吹さんが気づいて、怒鳴りつけてきた。
「コラ匪口貴様!!ちゃんと仕事をしろッ」
「はぁーい、はい。ちゃんとできてるってば。これでしょー?」
ちゃんと完成した仕事を見せれば、
「くッ……だが今は仕事中だ!携帯電話など見るものじゃない!」
ちょっと押し黙って、負け惜しみっぽい台詞を吐く。
笛吹さん、負け惜しみはかっこ悪いよー。なんて、やっぱ仕事中はマズかったかな?ごめんね。



でも文句は桂木に言ってね?
こんなに気にさせる桂木がいけないんだよ。
今だってほら、桂木から返信がないか、ってすごい気になってる。





俺、もう立派な


携帯電話依存症?






ていうか、

桂木依存症?

かな。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ