ワンピース

□貴方が居る場所
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ふと、ゾロが浅い眠りから目覚めて顔を上げると、あの女がいた。
「あらどうしたの剣士さん」
「別に。目が覚めただけだ」
「そう。おはよう」
にっこりと微笑むその女。
「お前こそ何してんだ」
問い返すと、
「本を読んでるだけ」
そう言って手元の本のページをめくった。
「誰もいない部屋で読みゃいいだろうが」
「そうしたら剣士さんはいないでしょう?」
ニコ・ロビンは再び微笑む。
「・・・意味が分かんねえ。くえねえ女だ」
ゾロがぼそりと呟けば、やっぱりロビンはクスッ、と微笑んだ。
「そんな難しいことは言ってないわ」
「難しくないかも知れねえがおれにゃ意味わかんねぇんだよ」
「あら、じゃあちゃんと言おうかしら」
今まで広げていた本をパタン、と閉じ、ゾロのほうに向き直る。ロビンはゾロの目をじっ、と見つめ。
「私は、剣士さんの居る部屋で、本が読みたいの」
「・・・!」
ゾロの頬が少しだけ赤みを帯びた。それを知ってか知らずか、ロビンはまたいつもの笑い声でクスリと笑い、本を開いて再びそこに目を落とす。

「・・・ッ、ぁ、」
しばらく顔を赤くしたままパクパクと無意味に口を動かしていたゾロ。またしばらくして、
「っか、勝手にすりゃいいだろ。おれは寝るッ」
と、ロビンに顔を向けずにぶっきらぼうに言った。
そんな様子に、ロビンは、
「ええ、勝手にするわ」
とゆったりと言う。ゾロに気づかれないよう、小さく笑いながら。
「貴方が居れば、どこでもいいわ・・・」
意味ありげなひとことをつぶやいて。
この後、ゾロが寝れたはずもない事を、ロビンは知っていた――。
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