ワンピース

□甘い、
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「おい」
緑色の髪をした剣士は、船の甲板で本を黙々と読んでいる仲間に話しかけた。
「なぁに?」
目線は本に向かったままで返事をしたロビンは、しばらくして反応がない事に気付くと、ようやくゾロへと目線を上げた。
「?、用事があるんじゃないのかしら。剣士さん」
読みかけの本を、先ほどまで開いていたページに小さな紙をはさんで机の上に置く。すると顔をしかめながら、ゾロは短く答えた。
「メシだ」
「あぁ、夕食ね。もうそんな時間かしら」
空を見つめれば、そこには茜色が広がっている。

「はやくしろ」
ゾロは一言、それだけ言うと歩き出そうと歩を進めた。
「待って」
「!」
いつの間にかゾロの肩にはロビンの手がおかれていて、動きをとめる。しかしゾロは振り返らずに、ぶっきらぼうに言った。
「何だ」
「剣士さん、今日は何だか冷たいわね。いつもより」
「何言っ……てんだ。いつもこんなもんだろ」
「そうかしら……?」
試すように、さぐるように、ロビンはゾロを見る。
「それより、メシ。だろ」
ゾロは言葉に一度だけつまると、目をロビンの方に少しだけ向け、そっけなく言った。そして、ロビンの手を振りはらおうとする。
「……そうね。いいわ、剣士さんが話したくないなら。行きましょう」
振り払われる前に、離した手を口元に持っていき、ロビンは二コリと笑って、ゾロをおいて歩き出した。

「くそっ、何だ……あの女」
残された男は、ただ不機嫌そうに舌打ちをするのだった。
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