忍たま

□見続ける者
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予想に反して、その侵入者はこの学園にあり続けた。
すぐに出て行くものと思っていたのに。

もとが、忍者になどなる気がなかった人間だ。そう簡単に追いつくはずもない。どれだけの苦労がいるか。努力がいるか。我慢がいるか。
厳しい此処にたえられるわけが、無い。

そう、考えていた。

「…………、」

(いや、もしかしたら俺は、)
「出て行って欲しかった……?」
自分の思いにふと気づき、更には口にしていた。
はっ、と気づいて手で覆う。が、もうすでに遅い。流れ出た言葉は元には戻せない。

――――何故?

そんな事は自分でも、本当は理解している。
ただ、そう、きっと認めたくないだけ。
認めてしまったら、それは……決して考えてはいけないと思っていた、その先の気持ちが暴かれてしまうようで。

(つまりは、自分が――)
「……何を馬鹿な事を、」
ありえない。
ありえない。
あってはいけない。
あいつに抱くこの思いは間違いだ。
間違ってる!

俺、が、あいつ、を――?


「ありえない……」

(好きだなんて)
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