ヤンキー君とメガネちゃん

□可愛いと言われるのは、
1ページ/3ページ



『姫路さんって可愛いよね』



「だからぁぁぁ!アタシは可愛いって言われてえんじゃねえんですよ!!」
目の前の花に叫ぶ凛風。周りにはいつものメンバー。
「はぁ」
分かっているのかいないのか、いつもどおりの花の返事。
「分かってくれますか!?花さん!」
凛風は、ぐっ、と拳を握りしめて熱弁している。その勢いは誰にも止められそうに無い。
「それなのに周りのやつときたら!可愛い可愛いって人の事をっ」
どうやら今日も皆から可愛いと言われたらしい。
いつもの事なのだが、それでも気にくわない凛風は毎回大声で叫んでいるのだ。
そんなに可愛いと言われたく無いのだろうか。普通に褒め言葉だと思うのだけど、と周りの皆は思うが口にはしない。

「じゃあ姫路さんは何て呼ばれたいの?」
千葉が困ったように聞く。
これも大概、いつもの質問で。
そして返ってくる答えも分かっている。
「決まってるだろ!女豹って呼、」
「無理だろ」
「品川ぁぁああぁぁ!!」
途中で凛風の言葉を邪魔したのは、相変わらずくだらない、とでも言いたげな顔をしている品川だった。
「そんなにアタシの実力が怖いか!女豹と呼ばれる日を恐れてるんだな!?」
「ちげーよ、つかもういいよお前」
ふぅ、とため息をついて立ち上がる。そのまま部屋を出ていこうと一歩踏み出した。
「ちょ、お前どこ行くんだよっ」
焦ったように凛風は品川に手を伸ばした。
「あ?帰るんだよ」
「なっ、い、言い逃げしておいて帰るなんて卑怯だぞッ、アタシも帰る!認めるまでついてくからなッ」
「うぜー、うぜーって。ホントまじで勘弁してくれって」
またしてもため息をついて、今度は本当に帰ろうと凛風の手をほどこうとする。
「ま、待てって言ってんだろっ!」
「いや、ついてくんなって」
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ